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第72話

ーコイツは本当に俺を『伴侶』とかにする気なんだろうか.....ー  俺は素っ裸に引ん剥かれ、凶暴な眼差しのライオンにベッドに押し倒されながら、胸の中で大きな溜め息をついた。ミハイルに撃ち殺され損ねてから、もう三年近くなる。 「あ....あんっ....;あぁ....あっ.....あぁ...」    この体に魂を入れ替えられ、ヤツに抱かれ続けた俺は、すでにヤツの匂いをすっかりと刷り込まれてしまった。 「ん?いいのか...どうして欲しい?」    ヤツの低い響きの良い声が耳に注ぎ込まれると、身体の芯がそれだけで熱くなる。 「あ.....触って.....俺の...」 「ここか?」 完全に勃ち上がり、痛くなるほど硬くなっているそこをするりと撫で上げられ、俺は身を震わせる。が、ミハイルの手は、柔らかくさわさわと焦らすように撫で上げるだけで、俺はたまらずに腰を揺する。 「お強請りをする場所が違うだろう?奥さん.....」 「だから...それは...止め.....あ....あ、くぅ...んぁ...」  ヤツの唇が胸の突起を吸い上げ、俺は背筋を駆け昇る甘い痺れに身を仰け反らせる。 「挿れ....て......」  俺は下腹の熱と疼きに堪えられず、恥ずかしい孔をひくつかせて、ヤツを強請る。ヤツはにんまりと唇の端を歪めて、なおも俺を揶揄するように太股を撫で回し、睾丸を柔らかく揉みしだいた。 「あっ...あんっ......早...く」 「ちゃんと、お願いしなさい。ハニー....教えただろう?」  ヤツの指が俺の疼くソコをからかうようにゆっくりと撫でる。 「あんっ......挿れて....旦那さまの...大きくて熱いの....俺の牝孔に...いっぱい......」 「いい子だ.....」 「ひあぁっ....!」  ヤツは俺の中に情け容赦なく、凶暴な逸物を俺の中に突き入れた。情けないことに限界まで滾っていた俺は、それだけで逐情してしまい....ヤツの口許が冷ややかに笑う。 「挿れただけでイってしまったのか?...イヤらしい牝犬だな。お前は....」 「そん.....な。おま....えが......あぁっ....そぅ....したん.....だろ......ひぁっ!」  ヤツに腰をがっしりと掴まれ揺すぶられて、容赦なく敏感なところを擦り立てられて、俺は喘ぎ、啜り泣くしかできない。 「そぅだ。ラウル、お前に『私』を覚えさせるために....な。私の形を熱を、その身体と心にしっかりと覚えさせねばならないからな」  ヤツは俺の上にのしかかり、なおも深く俺を穿つ。 「最高だよ、ラウル....抱けば抱くほど良くなる....私のモノにイヤらしく絡みついて、締めつけてくる.....神に感謝しないとな」  「神って.....。案配のいい身体を抱きたかったら、コイツを仕込めば良かったじゃないか....入れ替えなんか......しないで」 「それは違う。......ラウル、お前でなければ意味が無い.....」 「だから、なんで.....」  ヤツが、ミーシャが本当に俺を好きなら、前の身体の時には何故、そういう素振りを見せなかったのか.....いや、俺が気づかなかった。気づきたくなかったからかもしれない。 「以前のお前を生かしておくわけにはいかなかった....」  俺の中に欲情をぶち撒けたヤツは満足そうに息をつき、そして急に真顔になって言った。 「お前は狙われていた」 「俺はマフィアなんだぜ。いや、だった.....と言うべきだろうけど....」 「お前を狙っていたのは、私だけではない。お前はもっと危ない連中に狙われていた」 「なんだよ、危ない連中って.....」  ミハイルよりヤバい危ない連中なんているとは思えなかった。まぁ崔はヤバいが、未だ俺の素性には気づいていないし、過去の俺は会ったこともない。    「KGB ...だ。今はロシア諜報局という名称に変わったがな」  俺は思ってもみなかった名前に目を剥いた。ミハイルは声を潜めて言った。 「ラウル、お前、ニコライに嘘をついたろう...」 「嘘.....って?」  俺は思わず息を呑んだ。

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