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終焉 ③★
「ん……」
噛みつくようにキスをした。井上がそれに応えるように舌を絡ませてきた。途端に息づかいが荒くなる。
「は……んぅ……」
唇を重ね合いながら、お互いの服を夢中で脱がしていく。井上の着ていたカーディガンを脱がせ、長袖のTシャツを力任せに引き上げる。一瞬、唇が離れるが、また食い付くように重ねた。
井上がもどかしげに桜井のシャツのボタンを外していく。最後まで外すと、するりとシャツの内側に右手を入れ、桜井の脇腹辺りをゆっくりと撫でた。その、熱を持った井上の右手を意識しながら、桜井も井上の胸へと右手を伸ばした。左手は井上の後頭部へ添え、ぐっと井上の頭を引き寄せる。
「んん……」
ぴくり、と井上の体が微かに波打った。相変わらず敏感な井上の胸の突起をじっくりと攻めていく。指先で摘まむように転がすと、井上の反応が強くなった。
「んっ……んんっ……」
絡まり合う舌の隙間から井上が声を出した。突起を弄る右手の指先に力を入れた。堪らず唇を離して声を上げようとする井上を逃がさないように左手に力を入れる。
「んぅ……ん……」
苦しげにぐぐもった声で喘ぐ井上に、桜井の熱も上がっていった。
ようやく唇を解放した時には、井上の息は上がり、潤んだ瞳で桜井をただじっと見つめていた。数秒見つめ合った後、そのまま井上を床に押し倒した。井上の胸の突起へしゃぶりつく。もう一方の突起は指先で弄った。
「んあっ……あっ……あ……ん……」
いつもに増して、井上の感度は良かった。胸を攻めるだけで、耐えられないとでもいうように腰を上げて下半身を桜井の腹へと押しつけてきた。
突起から唇を離して、軽く笑った。
「すっげぇ動いてる、腰」
「だって……めちゃめちゃ感じる、今日」
そう言いながら、井上が桜井の右手を取った。そのまま井上の膨らみを帯びたジーンズの上へと導いた。
「今日は……焦らすなよ」
「……分かった」
ジーンズのベルトとボタンを外して、ジッパーを下ろした。下着の中へと右手を忍ばせていく。
「はぁ……あ……」
大きく膨らんだ井上の自身を揉むように掴んだ。井上がびくん、と体を仰け反らせた。ゆったりとした早さで扱く。
「あっ……あっ……あっ……」
手を止めることなく、井上の体に覆い被さった。顔を近づけると、井上が顎を少し上げて桜井の唇を受け入れた。
舌を井上の口内で派手に動かすと、井上も負けずに絡み返してきた。
「んう……ん……」
唾液とお互いの吐息が混ざり合う。くちゅくちゅ、と微かに唾液の音が聞こえた。井上の口端から唾液が伝う。桜井は井上としかこんなキスはしない。彼女ともしない。どれだけ乱れても。どれだけ必死でも。どれだけ汚れても。どれだけ滑稽でも。他ならば不快としか感じられない吐息に漂う酒臭さも。
井上となら、興奮材でしかない。
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