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俺の愛しの探偵 1
「んっ……」
立ったまま腰をぐいと引き寄せられ、反対の手で後頭部を摑まれ、角度を変えながら熱い舌が差し込まれた。
刻の舌も、息も、手の平も熱い。常に余裕たっぷりな男の、急いた仕草に胸が締め付けられる。求められるのがたまらなく嬉しかった。
深いキスの間に刻が囁く。
「ずっと、君に口づけたかった……。いつのまにか、身体を重ねるだけじゃ足りなかった。……はは、僕は本当にまぬけだ」
「久須美……」
濃厚な口付けに、早くも息が上がってしまう。壮吾は胸を上下させて刻を見つめた。
「今夜は……優しくできないかもしれないよ。僕も、余裕がない」
刻は自身の上着とベストを脱いで放り、白いワイシャツのボタンを外した。壮吾も自分のシャツのボタンを外しにかかるが、震えてうまくできない。
刻の指が手伝ってくれる間、壮吾は刻の頬や額に口づけた。
それに夢中になっていると、刻の指は器用に壮吾のシャツをはだけさせ、ウエストのボタンとベルトを外し、スラックスを床に落とした。
ベッドまでたどり着く間も惜しむように、ふかふかのラグの上に二人重なり倒れ込んだ。
抱き合った経験は何度もあるが、両想いだとわかってからは初めてだった。深い口づけを繰り返しながら「愛してるよ」と囁かれ、壮吾の頭と身体は甘く痺れてくる。
邪魔な眼鏡を外していたから、思う存分刻の甘いキスを堪能できた。
「眼鏡というのは、優秀な小道具だ」
刻の口づけは、唇から顎から、首筋へと降りていく。
「こんなに綺麗な君を、隠してしまうのだから」
壮吾の薄い胸元に舌を這わせながら、刻が囁く。
壮吾はいつも以上にこぼれてしまいそうになる声を堪えた。
「もう、僕の前で眼鏡は不要だ。すでに僕は、君の目に狂わされているからね」
唇で強く吸われ、舌でくるくる舐め回され、壮吾の小さな膨らみは先端を尖らせる。刻の舌は、器用に動き回り、未知の性感帯を開発していった。
「あっ……ぁあ……」
むず痒いような愉悦が、じわじわと胸から四肢へ広がる感覚に、壮吾の唇から細く長い喘ぎ声が漏れ続けた。
「いい声だ……たまらない。気持ちいいのか」
「い……い……ぅ、あ、ぁ」
『浄化』でのセックスはキスもしなかったし、触られたのは下肢だけだったが、壮吾は充分感じていたし、射精もした。
だが、キスと胸の愛撫だけで、壮吾の中心は痛いほど勃ち上がってしまっている。
こんな風に、愉悦が静かな波の間を泳ぐような感覚は、初めてのことだった。
「ぁあ、ん……あ……くす、み」
じれったいのに気持ちよくて、初めて好きな相手に抱かれる少女のように、頼りなく切ない心地になってしまう。
刻の舌と指にしつこく弄られた壮吾の小粒の肉豆は、ぷっくり膨らんで色づいてきた。
途中から刻の指は、裏の窄みをほぐしにかかる。
「は、あ……は、あっ、や……」
「まだ狭いけど、中が熱く蠢いているよ。君のいいところは全部知り得たつもりだったが、……甘かったな」
刻の声は、今までになく興奮していた。
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