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刻の意外な一面 6

「おい久須美、俺のこと大事に想ってくれてんなら、何でも話してくれよ。おまえにそんな態度取られる俺の気持ちを考えてみろこの野郎」 「すまない……」 「別に謝らなくていい」    は、と刻が重く息を吐きす。    壮吾は目の雫を拭うと、両手で刻の顔を包んだ。湯船に浸かっていたのに、その顔は青白いように見える。   湯気が立ち昇る浴槽に立つ刻の裸体は彫刻のように美しかった。白い肌を流れ落ちる雫が、刻の美しさに花を添えているかのようだった。    整った形の良い眉に、わずかに寄せられたしわですら、繊細に組み込まれた芸術作品のようで、壮吾は感嘆のため息をこぼした。 「まじで、綺麗だよな、おまえ」 「なっ、なんだい、藪から棒に」  かああ~っと効果音が聞こえそうなくらい、あからさまに刻の頬が朱に染まる。  容姿に関しては、生まれた頃から言われ慣れているだろうに。  壮吾が褒めただけで、こんなに顔を赤くするなんて。  そういえば、この長い付き合いの中で、刻の容姿をちゃんと誉めたたえたことがなかったなと気付いた。 「イケメン」くらいは言っただろうけど。  究極に照れくさいというのもあったが、思ったことを伝えてこなかったのは、壮吾も同じ。お互い様だ。    しかし潤んだ刻の瞳は、正面から見つめる壮吾からスッと目を逸らしてしまう。 「おい、なんで目え逸らすんだよ。こっちを見ろ」 「いや、だって君」 「だってもクソもあるかよ」 「はは、まったく口が悪いね、春井くんは」  あ、やっと笑った。  刻の表情が緩んだ隙に、その唇を塞いだ。 「んっ……」  刻の喉から洩れる声に煽られ、すぐに深く口付ける。唇が緩んだ隙を狙い、壮吾は舌を滑り込ませた。 「ん、む、だめだ、春井くん」 「ん、なん、で、だよ」  肩や腕は冷めてきているのに、刻の舌は熱を持っていた。  壮吾は逃がすまいと刻の舌を捕らえ、強く吸った。 「ん、ぐ、ぅ」  壮吾の行動に驚いたのか、目蓋や頬骨に刻の睫毛がパタパタと触れるのを感じた。うっすら目を開けると、予想通り困惑した様子の刻がいた。  悪態をつかない刻などは、まったく刻らしくない。  こんな風に、戸惑いの表情を湛えた美青年バージョンも新鮮で面白いけれど、そんなのは久須美刻らしくない。  ツンデレすぎるのも困りものだが、(両思い前はツンデレどころか壮吾に対してひたすら意地悪だったが)  口の悪いボケとツッコミの関係が意外に気に入っていたし、自分達らしくていいと思うのだ。  本来の久須美に戻ってもらわないと、俺も調子出ないしな。  壮吾は、大胆な行動に出ることにした。  戸惑ったままの刻の腕を引っ張り、浴槽の淵に座らせると、自身は身体を湯船に沈め、刻の足の間に入り込んだ。 「春井くん、何を……?」 「いいか、じっとしてろよ」  壮吾はちょうど目の前の位置にある、刻のペニスに顔を近づけた。  先ほどの濃厚なキスで刺激を受けたのか、半分硬くなっているそれを、下から上に舌を這わせた。 「はっ、春井くん」  何度も刻にしてもらうことはあった。しかし、壮吾からのフェラチオは初めてだった。  こいつのは、デカイだけじゃなくて長いんだよな。  

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