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第7話

凪と一緒に、水族館を出る。 まだちゃんとした答えは貰っていない。 このまま付いていっていいのかも、よく解らない。 「………ごめん」 「……」 「きっと驚いたよね。……僕もまさか……僕が今日、水族館に来るなんて、思いもしなかったから」 「……」 凪が、おかしな事を言う。 さっき僕も、おかしな事を言ったけど。……でも、そういう事……なんだろう…… 「本当の事を話すよ。……だから、ちゃんと聞いて欲しい」 並んで駅へと向かう道すがら、凪はぽつりぽつりと語り出した。 「──僕は、この世界とは違う未来から来たんだよ」 「……え」 「過去に戻るとね、それまでいた世界とは違う……別の世界に飛ばされる。 パラレルワールド……っていうのかな。同じ時間軸に無数の分岐点があって。選択してこなかった、それぞれ別の未来が存在する。 ……にわかに信じがたい、絵空事だとしか思ってない人達が殆どだけどね。 その無数の世界には、創造した神にしか解けないロックが掛けられていて、簡単に往来できないようになっている。その世界の秩序を守る為に。 ……でも僕は、その鍵を見つけたんだよ」 信号の手前で曲がり、凪が細い路地に入っていく。足早の凪に追いつけず、僕は小走りして追い掛ける。 「──塚原と僕はね、入学式で見かけた理央に、一目惚れしたんだ。 可憐な顔立ちながら、何処か人を寄せ付けない陰のようなものがあって。僕に似ていると感じた。仲良くなれたら、と思ったよ。 ……でも、塚原は違った。 理央を虐めの対象にした。 わざと賭けに負けて、罰ゲームを利用して、理央に想いをぶつけたんだ」 「……」 「そんな理央は、深く思い詰めて……自殺した。 塚原に捨てられた本を抱えて、学校の最上階から身を投げて……」 「……」 「凄く、後悔したよ。 塚原を止めようと、何度も思ったのに。……最後まで出来なかった。 結局僕も、塚原と同じで……周りに悟られるのが、怖かったんだ。 でもその結果、大切な君を失う事になった。……取り返しのつかない事をしたと、今でも思ってる」 「……」 「この世界に来たのはね。理央に、もう一度会いたかったからなんだよ。 もしできるなら……理央を支えて、運命を変えられたらとも思った。 どれだけ理央の力になれたかは解らないけど……理央の命日、何事もなく公園のベンチに座っている姿を見た時は、嬉しかった。 ……だから少し、欲が出た……」 「……」 「そろそろ、帰らなくちゃ」

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