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第4話 縛り

「ただいまー」  母親は自分の店の買付のため出張、父親もまだ運送の仕事から帰ってないらしい。  真っ先に風呂場へ向かう。カピカピになったパンツと制服のズボンを洗濯機に放り込む。  制服に関しては、本来ならクリーニングに出す方がいいが、型崩れしないように畳んだ状態でネットに入れておしゃれ着モードで洗えば大丈夫だ。父親の受け売りだから嘘か本当かはわからないけれど。  洗濯機を回している間に風呂に入る。  頭から熱いシャワーを浴びて、不完全燃焼なソコに触れた。  旭くんにソコを踏まれた靴の感触。舐めた足の指、土踏まず、かかと。旭くんの汗のにおい。 「ふ、あぁ……っ」  旭くんに踏まれた時の快感には劣るけれど、それを思い出すだけで興奮する。  あっという間に昇りつめ、排水溝に水と一緒に流れていく精液を見送る。  一息ついたところで浴室の給湯リモコンの時計を見ると、そろそろ旭くんが家に帰りつく時間になっていた。  急いで体を洗い風呂を出て、スマホのトークアプリを起動させる。 『そろそろ家だよね。今日も楽しかった、ありがとう。旭くん大好きだよ』  付き合っているとはいえ、M男の礼儀は忘れてはいけないと思う。  すぐに既読がついて返信がきた。 『ヘンタイ。明日の放課後は文化部の部室棟入口で待っててください。おやすみなさい』  メッセージでもご褒美をくれる旭くんはなんて心の広い子なんだろうと思う。  かわいいスタンプを送ると既読がついてそれからは連絡は来なかった。  運動部が試験前で休みなら、文化部も休みなんだろうか。  誰もいない部室棟。でももしかすると誰か来るかもしれない場所で、俺は旭くんと、旭くんいわくアンナコトをする。  明日はいったいどんなことをして、どんなことをされるのだろう。  朝。清々しい朝だ。放課後のことを考えると、ドキドキと胸が高鳴る。 「おはよう~」  あいさつをしながら教室へ入ると、口々に返事が返ってくる。  席につけば真っ先に不安そうな顔をした鳶坂がやって来た。 「あの、斎藤。昨日はごめんな? 俺、ふたりがそんなって知らなくて……」 「ああ、気にしないでくれよ!」 「その、インハイ予選も近いし、あんまし問題起こしたくないって思って……」 「大丈夫だよ。本当に、気にしないでくれよ」  なだめるようにそう言うと、鳶坂はホッとした表情に変わる。 「ホント斎藤って優しいよなあ。俺、あんだけ疑ったのに」 「そんなこと、ないさ」 「あー、鳶坂が斎藤にメンチ切ってる!」 「あァ? 切ってねえし!」 「鳶坂そんな睨むなってー!」 「睨んでねえわ! 生まれつきだわ!」  クラスのみんなと仲がいい鳶坂は、こうしてみんなに見られていて、イジられることも多い。本当のことを言えば、だからこそできれば関わりたくない。 「斎藤くん鳶坂にいじめられてない? 大丈夫?」  こうやって強制的に、他のクラスメイトと接しなければいけなくなるからだ。 「ほらほら、普通に話してただけなんだから、そんなこと言うのはやめような?」 「ひゅー。マジ斎藤って人間できてるよなぁ」 「ホント、ホント~」 「いやいやそんな……」  期待されたら期待に応えてしまう。  教室が息苦しい。  早く、旭くんに会いたい。旭くんだけが俺の救いだ。  そのあとは音も立てずに回る秒針を見ながら授業を受けた。  待ちに待った放課後。  旭くんに命じられるままに、文化部の部室棟へ向かう。 「斎藤先輩、こっちです」  先に待っていた旭くんと合流し、案内された場所は廃部になった落語研究部の部室だった。  長机とパイプ椅子。そして奥に畳が置いてあるだけの部屋。中はほんの少し埃っぽいくらいで、想像していたよりきれいだ。 「じゃあ、斎藤先輩……服全部脱いで、そこの畳の上に座ってください」  奥の畳が6枚ほど重なって置いてある所を指して言う。  俺は旭くんに命じられるままに、全裸になって畳の上に座った。 「斎藤先輩って、少し声が大きいんですよね」 「そうかなぁ」 「ここを長く使うために、なるべく声は出さないでくださいね」 「うん、がんばるよ」  俺の返事を聞いた旭くんは、俺の脱ぎ捨てたズボンのベルト通しに通されたままのベルトを引き抜いた。 「旭くん? うわ!」  旭くんは何も言わずに俺を畳の上に押し倒し、腕を上げさせ折り畳んだ前腕同士をベルトで縛る。  たったそれだけで期待に勃起しているソコを旭くんが見て笑った。 「縛っただけですよ?」 「あさひく……だって」  先端から滲み出した先走りが腹に垂れる。  旭くんは左手で竿の部分を腹に押し付け、右手で玉の部分を握りしめてくる。 「ひっ、ああ~っ!」 「これだけでそんな声出すなんて……しょうがないなあ」  旭くんが履いていた靴下を脱いで、俺の口に押し込んだ。  今日1日履いていた旭くんの靴下のにおいにくらくらする。 「お、んふぅ……」  くぐもった声しかでなくなった俺に満足げな旭くんが、自分のズボンのベルトを引き抜いた。  また竿の部分を腹に押し付け、たらりと垂れた玉をベルトの端でペチペチと軽く打つ。冷たいベルトが熱をもった玉に当たる度、からだを駆け巡る快感にビクビクと震える。 「お、おお……ふ、ふう」 「気持ちいいですか?」  こくこくと懸命に頷くと、旭くんは満足げに微笑んだ。 「素直でイイコですね……ご褒美です」  旭くんがベルトを脇に置き、俺の玉をむぎゅと掴むと、物理的に真っ赤に腫れたように見える玉を思いきり平手で叩いてくる。 「おご、ぉおう……ッ!」 「ご褒美なんだから、勝手にイッたらダメですよ……あと5、4、3、2……」  カウントに合わせて打ち下ろされる旭くんの手のひらに必死に耐えた。 「1!」  最後、ひときわ大きな音を立てて打たれる。 「うぅ~~ッ!」  どうにか射精を我慢して耐えた俺の口から靴下が引き抜かれた。ゼェゼェと肩で息をしていると、旭くんがズボンとパンツを脱いで俺の首に跨がる。 「斎藤先輩、舐めて」  そう言って差し出された旭くんのソコは大きくなっていた。  俺への責めでこんなにも感じてくれた事に、からだの奥底から悦びを感じる。  口元に運ばれた旭くんの勃起した先端を懸命に舌で舐めた。

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