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第一話:プロローグ
―龍華家・深季の寝室
白いレースのカーテンがひらひらと舞う中、ふるふると手を震わせる人物は言葉に詰まった。
幼い頃から何不十なく、育ててきたつもりだった。朝食の時間だと呼びに来る数分前まではの話。
机には一枚の置き手紙が置いてあった。
『暫く探さないで下さい。俺は俺の道を新しく決めたく思います。龍華家を捨てる訳ではありませんので、くれぐれも探偵などは使わない様に!!!』
達筆な字で記されていた。
「探さないで下さいって…」
肩を落とすしかなかった。
これが主である母親にバレたら一大事だ。『探さないで下さい』と書かれてあったが、言語道断。
探偵なり霊能力者なり使って手当たり次第、探す。
「深季(ふかい)様、見つけ次第…容赦はしません」
辺りに黒い気が次々と生まれていく。
ぴたりと時間がスローになった様に風の吹き方がゆっくりになった。
あの人…。
何、仕出かしているのだろう。
自分で祓えない癖して。
堂々と家出とは。
何歳だから、家出をしてやがる。
そいゆうのは…。
十代の内に済ませておくのが正解だ。
四十八にもなって。
本当、馬鹿だ。
ー…俺の従兄弟は。
正真正銘の馬鹿だと思う。
この仮は、身体で払ってもらう事にしよう。
不幸体質と霊媒体質を備えた馬鹿深李。
誰が祓うと思っているんだ!!!
貴方に取り憑いた霊を…。
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