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ついこの間の件が甦ってくる。 ボトルワインを一人で二本開けていた従姉。 恐ろしい飲み方だと、彼は思ったが。酒好きからしたら、ザラでもないのだろう。 問題は夫が底無し沼という事。 ー…色んな意味で犯罪級。 「お前は、酒好き?」 「まぁ。程々に楽しむ程度ではありますが、嫌いではありませんよ…」 「へーっ」 お酒は嗜む程度。 酔うまでは飲まないし、まして、吐くまで飲むという行為はしない。 彼の中では限度という言葉が存在する。 だからこそ、無理して飲む必要性も無いと思っているからだ。 仕事の接待とかでは、よく飲まされるけど。それでも、溺酔するまではいかない。 「あ、そういや、名前」 突然、思い出したのか、男性は眉を寄せ、言った。 「…」 「名前、何だ?」 「『鳴澤 克樹』と言います。年齢は、今年で二十四になります…」 「に、二十四だと!!!」 驚いた声音が彼から溢れる。 若いとは思っていたが、男性と年齢差が空きすぎている事に一驚だったらしく。開いた口が閉じないとは、こいゆう感じなんだなと、一人納得する。 「えぇ、深李さんとは、二回り離れてますね…」 にっこりと笑みを浮かべ、彼は再び注がれた酒を口に運んだ。 年齢を聞いて驚くのも無理は無いかと、心の中で呟き、男性の表情を伺いながら考えた。

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