28 / 117
4-8
ついこの間の件が甦ってくる。
ボトルワインを一人で二本開けていた従姉。
恐ろしい飲み方だと、彼は思ったが。酒好きからしたら、ザラでもないのだろう。
問題は夫が底無し沼という事。
ー…色んな意味で犯罪級。
「お前は、酒好き?」
「まぁ。程々に楽しむ程度ではありますが、嫌いではありませんよ…」
「へーっ」
お酒は嗜む程度。
酔うまでは飲まないし、まして、吐くまで飲むという行為はしない。
彼の中では限度という言葉が存在する。
だからこそ、無理して飲む必要性も無いと思っているからだ。
仕事の接待とかでは、よく飲まされるけど。それでも、溺酔するまではいかない。
「あ、そういや、名前」
突然、思い出したのか、男性は眉を寄せ、言った。
「…」
「名前、何だ?」
「『鳴澤 克樹』と言います。年齢は、今年で二十四になります…」
「に、二十四だと!!!」
驚いた声音が彼から溢れる。
若いとは思っていたが、男性と年齢差が空きすぎている事に一驚だったらしく。開いた口が閉じないとは、こいゆう感じなんだなと、一人納得する。
「えぇ、深李さんとは、二回り離れてますね…」
にっこりと笑みを浮かべ、彼は再び注がれた酒を口に運んだ。
年齢を聞いて驚くのも無理は無いかと、心の中で呟き、男性の表情を伺いながら考えた。
ともだちにシェアしよう!