27 / 117
4-7
冷蔵庫から違う冷えたコップを取り出す男性は、テーブルに置かれてあったビールに気付き、袋から取り出す。
「あ、ビールは冷やしておく」
「えっ、でも…」
「これを飲もう」
コップと一緒に用意されたのは緑の小瓶に入ったお酒だった。
「えっと、キムチしかないけど良い?」
「はぁ、構いませんが…」
「この酒は、韓国のお酒でチャミスルと言うんだ。味は甘口。口当たりが柔らかい。だから、キムチが合うんだ」
テーブルに並べられたお酒とキムチ。
「ほら、座れ」
「あー…はい…」
言われるまま椅子に座った彼は、コップに注がれる酒を見つめた。
「ロックでも良いんだけど、基本はストレートらしい」
「ストレートですか…」
「よっぽどの酒好きじゃなきゃ、ストレートで飲もうと考えないよなぁ。俺は、ロックが好きだが」
よっぽどの酒好きと聞いて、男性が一瞬浮かべたのは、従姉夫婦の顔だった。
彼女は『お腹を冷やすから』という理由で水割りを、氷を入れずに飲む。軽く煽ったと思えば、合図の様に次のお酒を飲む準備をする。
それが、凄く印象的で…。
何処に入るんだと思うくらいに飲むから、驚きだ。
ふっと、思い出した彼はコップに注がれたお酒に口に運んだ。
ほんのりと広がる甘い味が口の中に広がっていく。男性が勧める理由も解る気がした。
ともだちにシェアしよう!