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「鳴澤家の若君が深李に惚れてしまったのよ…」 一瞬、ピリッと、張り詰めた空気が海凰から漂ってきた。 「昔から変な者を寄せ付ける技はピカ一なのは知っていますが、あくまで、死んだ人間。何時から、生身の人間を寄せ付ける能力を発揮する様になったんでしょうね」 「恋愛対象が変わるだけで、何の問題も無いと自負はしているわ。偏見や、差別もしない。だけど、龍華家は由緒正しき旧家である事に変わりはない。決めた相手と契りを交わすのが本来の義務よね。鳴澤家とは古い付き合いだけど、それとこれは別件な気がするのよ…」 古い付き合いだとはいえ、結婚と考えると違う気がする。 好意を寄せ付けられる事に無頓着な深李は気付いていないと思う。進展する前にケリを付けないと、後々大変。 そいゆうのを含め、海凰はどうするのか。 天然でバカな息子は、如何なる判断を下すのかを知りたいのだけど。難しいかも知れないわね。 鳴澤家の若君という爆弾を彼女が置いていったりするから、私の悩みの種が増えたじゃない。 まぁ、それも酔狂なのだと、楽しめば良いんだけど。 それじゃ、味気が足りない…。 もっと、奈篦には混ぜてもらわなければ面白味に掛ける。 そこで…。 海凰なんだけど。

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