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【深李side】 あの日、世話になったのは良いが、名前を聞くのを忘れていた俺は尋ねた。 大人びた雰囲気を醸し出しているから、てっきり、三十代だと思っていたのが、まさかの、二十代前半とは、予想外だった。 俺と二回り違うとか、無しだろう。 「なぁ、実年齢とは別に上に見られるだろう?」 「まぁ…。実年齢より、十歳上に見られる場合もあります…」 「やっぱり。でも、得だよな…。身分証明書、要らないし」 俺からしてみれば、羨ましい限りだ。 酒を買う時に、身分証明書を提示しない部分が魅力的。 「ふふ、深李さんは逆に下に見られてしまいますね。童顔だから…」 「…っ」 四十八歳にもなって…。 『身分証明書を提示して下さい』と言われる方が恥ずかしい。 それに。 顔は、母上様が童顔だから仕方ないと自負をしているつもりだ。 父上様似だったら、もっと男らしい顔付きになっていただろうが、生憎、母上様曰く『父親に似ていたら、毎日がポカンとしたアホ面みたいな少し残念なイケメンになっていたわ』と、嘆かわしい表情をしていたので、逆に母上様似で安心した。 残念なイケメンって、何だ?と、ネットで調べたが。 正に、目の前に映る。 ー…コイツみたいな感じか。 それなら、納得する。

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