72 / 116

8-5

俺は、倉科 海凰殿を見ながら、レベルを計る。 人種的には…。 ドス黒い夫婦と、あまり変わらない気がした。 現に、深李さんが、大人しいし。 「さっさと、吐いてしまえば、楽ですよ?深李様…」 「えーっと…家出を実行した時に、たまたま雨が降りまして。彼が、偶然、通り掛かってですね」 目が泳いでるよ、深李さん。 「はぁ」 「…助けてもらったんです、はい」 「ほ-っ。家出を実行したのは良いが、運悪く、雨が降ったんですか。それはそれは、寒かったでしょうね。私のお言い付けを守れないなんて、馬鹿ですか?散々、言ったつもりですよ。雨に濡れてはいけませんと…」 「…っ」 あの日の深李さん、びしょ濡れだったな。 要は、倉科 海凰殿の地雷を踏んだ訳だ。運が付いていないというか、深李さんらしいというか。 最早、神が授けた賜物だ。 あの…。 性格 、どう、見ても我が道を行く。 倉科 海凰殿も、苦労するな…。 天然という、最先端の技術に、俺は、感嘆する。 これ、此処でしか無い話だ。 そんな事を、考えながら、俺は新たな小説のタイトルを思惟していた。 今なら…。 BLというジャンルがある。 知ってはいるが、折れるべきなのか。 新しい話を書くなら、自尊心云々、言っている場合じゃないのかな。

ともだちにシェアしよう!