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【克樹side】 俺は、今、異様な光景を目の当たりにしている。 寝ぼけていた、深李さんが完全に、目を覚ました。 目を覚ました事は、嬉しいんだけど。 倉科 海凰殿が、笑顔で深李さんを、リビングに引っ張っていき、正座をさせた。 『目は覚めましたか、深李様』 『は、はい…』 『では、姿勢を正し、床に同化するかの如く、両腕と額を付けて下さい』 床に、同化するかの如く? 両腕と、額を付けて? 首を傾げて、考え。 椅子に腰を下ろした俺は、素直に従っている深李さんが、視界に入る。 「深李様、彼と出逢った経緯を…包み隠さず、私に話して頂けますね」 「…」 「生憎、無言は、受け付けません」 人種が…。 奈篦と同じ匂いがする。 否、詠清さんの方かな…。 浮かんできた二人の人物を、俺は、倉科 海凰殿に嵌めていく。 類は友を呼ぶというし、この場合は、人種が一緒という事で。同族に値する訳だよな。 自棄に、リアルな三人になる…。 想像したら、それはそれで、少し控えた方が良い気もした。 同族嫌悪ならぬ、同族同好会でも開いていそうな勢いなんだよ。 三人並ぶと。 その間に、挟まれる俺って…。 何だか、寂しい生き物と化していきそうだ。 奈篦からすれば、十分に弄り倒すにはもってこいだと思う。

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