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ラブ、つゆだくで #7

「や…、っあ……」 下着から上向きの性器を出し、先端を指先で優しく撫でてやると、牧は堪らず甘い声を漏らした。 「牧さん…。ここ、もっと触ってほしそうにしてるけど。触っても、いい?」 「んなもん……、いちいち、聞くな…っ」 「だって、牧さんが事前に許可取れって言うから」 「……俺が許可出さなかったら?」 「そしたら、俺が困ります。……あと、牧さんも」 牧の陰茎の根元から先端へ、指をつうっと滑らせると、牧はビクンと体を小さく震わせた。 「ああ…っ! そん……、バカ、焦らすなって」 「だって、牧さんが許可くれないから」 「それ、は…」 牧は、ちらりと視線を周囲へ向ける。 この試着室は牧の職場の中にあり、ましてや誰かに気づかれる恐れだってある。 いつもならすぐ「触って」と強請(ねだ)ってくる牧がこんなにも迷っているのは、やはり環境が問題なのだろう。 ――さすがにこの状況で強引にするのは、嫌われてしまうかな。 「……やっぱり、ここでするのはやめておこうか」 ごめんと謝って、鳴海は牧から手を離した。 すると、触れていた感触が急になくなって名残惜しくなったのか、牧は慌てて顔を上げ。 「や、やめなくて……いい…」 離れていく鳴海の手を、引き止めた。 鳴海は一瞬だけ驚きの表情を見せた後、すぐに色気のある笑みを口元に浮かべて。 「じゃあ。牧さんはどうしてほしいのか、俺にわかるように言って?」 鳴海が牧の耳元でそう囁くと、牧はその耳先まで朱色に染める。 そして、誘惑に負けたのか、ついに己の欲望に忠実となることに決めたようで。 牧は着ていたシャツの裾をゆっくりと捲り、口を開いた。 「……鳴海に、もっと触ってほしい」 それから、熱で蕩けた瞳で鳴海を見上げる。 「俺のこと、気持ち良く……して…?」 下腹部まで露出され、丸見えになった牧の性器はとても綺麗な形をしていて、それでいて扇情的で。 鳴海は密かに、生唾を飲み込んだ。 「――牧さんが、望むなら」 お預けを食らっていた牧の肉茎をそっと握り込むと、牧は気持ち良さそうに吐く息を震わせた。 「牧さん……。どう、気持ちいい?」 緩やかに(しご)きながら鳴海が小声で訊くと、牧はこくこくと大きく頷いて答える。 喘ぎ声が漏れないように口を手で覆って必死に耐えている姿を見れば、もうそれだけで興奮してしまう。 いけないことだとわかっていても、自分との快楽を優先してもらえたことへの優越感のようなものが込み上げてきて、心の中は(いびつ)な愛情に支配される。 もっと。もっと、本能で自分を求めてほしい。 それこそ、自分なしでは生きられないくらいに。 そんな欲望が自分を突き動かすのを覚えながら、鳴海は牧の感じている表情を間近で堪能していると。 「な、るみ……は…?」 ふと、牧が掠れた声で言う。 短い言葉だったが、何が言いたいのか鳴海はすぐに理解する。 「……俺も、エロい牧さん見て興奮してるよ?」 ほら、と服をずり下ろして、勃起した自身を見せてやる。 もうとっくの昔に硬くなり始めていたそれは、取り出すとブルンと勢い良く姿を現した。 牧は鳴海も欲情している証拠を見て安心したのか、一度深い呼吸をすると、物欲しげな目をこちらに向けて。 「鳴海のも、俺が触ってやる…から」 そう言って、牧が鳴海のものに手を伸ばし手コキを試みるが。同時に自分自身も攻められているせいもあり、なかなか力が入らないらしい。 そんな可愛い姿に嬉しさと更なる情欲を感じながら、鳴海はくすりと微笑んで。 「それじゃ、二人で一緒に気持ち良くなろうか?」 牧の性器に自分のものを合わせて、竿を二本まとめて片手で包み込む。 そのまま上下に手を動かせば、互いの敏感な部分が擦れ合って、ビリビリと電流に似た感覚が全身を駆け巡る。 「あ、あああ……ッ」 どちらのものかわからない先走りがローションの代わりとなって、ぬるぬるした感触に包まれる。 鳴海の手が動く度、クチュクチュと厭らしい水音が狭い室内に響いて、牧は耳までゾクゾクさせた。 「んっ…ああ…ぁン…!」 「牧さん、声…抑えないと、売り場の方まで聞こえちゃうよ?」 「や…っ、だってこれ、気持ち良すぎ……、我慢、できな……ッ」 感じやすい牧の声はどんどん開放的になっていき。 店内はアップテンポのBGMが比較的大きい音量で流れているとはいえ、さすがに少し心配になる。 「なら、牧さんの口は俺が塞いでおくので…」 「んん…っ。ダメ…それ、もっと気持ち良くなっ……! んうぅっ」 念には念をと、鳴海がキスをすれば。 声が漏れない代わりに、牧の上擦った声が鼻を抜ける。 より強い快感に侵されて、手の中の鈴口からは、更なる蜜がじわりと溢れ出した。 「ん、ふぅ……ううん…」 牧は夢中になって鳴海の舌を吸いながら、腰を押しつけるように前後に揺らす。 なんだかんだ言いつつも、鳴海の首の後ろに腕を絡めて抱きついてくれるのが嬉しい。 ガチガチに硬くなったペニス同士が密着した状態は、まるでセックスしているようで。 お互いの亀頭がヌチュヌチュ滑りながら激しく擦れ合う行為が気持ち良すぎて、鳴海も微かに声を漏らしながら呼吸を荒くしていった。 「牧さん…。このままイッてもいいよ…」 唇をそっと離して、鳴海が囁き声で射精を促すが。 牧は「嫌だ」とかぶりを振る。 「大丈夫だよ。今、近くに人の気配しないみたいだし…ちゃんと体もきれいにするし…」 「いや、そう…じゃなくて…」 「……?」 鳴海が一度手を止めて、牧を見る。 眉を寄せ困った顔をしながら、その瞳に羞恥の色を浮かべていて。 「俺…。中で、イキたい……」 「え?」 それって、どういう意味? 牧の発言を咄嗟に脳内で処理することができなくてそう聞き返すと、牧は口をへの字に曲げて。 「だから…、今ここで、俺を抱けって言ってんだよ…っ」 何度も言わせんな! と、限りなく声のボリュームを抑えた声で怒られる。 「え…。でも俺、ゴムもローションも持ち歩いてないし」 「無くても何とかなるだろ」 「それじゃ、つまり……」 「生でするんだよ、ナマで」 はっきり言い切るくせに、恥ずかしいのかそっぽを向いてしまう牧を前に。 鳴海は全身の血液が沸々と煮立っていくような感覚に襲われる。 ――牧さんと、セックス。この試着室で。生で。中出し。生セックス……。 次々と脳内にえっちなワードが流れてきて、今更ながらこの状況がとても淫猥であることを鳴海は改めて思い知る。 牧は再び下半身を鳴海へと寄せて、反り返ったペニスを鳴海のものに擦りつけると。 「俺を興奮させて、こんな体にしたんだ。最後まで責任取れよ、鳴海――…」 掠れた声で言い、鳴海の顔を両手で挟むと。 その唇へ、噛みつくようなキスをした。

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