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プロローグ2
だから、自分が『Ω』と判断された時に間違いだろうと、いくつもの医療機関で検査を受けた。両親だって受け入れがたく、大金を払っていくつもの病院を一緒に回った。
来月には22歳になる。だけど、僕はこれまで一度も発情期を迎えていない。このまま未完のΩのままなのかもしれないと、検査結果は間違いだろうと、半ば安心していた。
だけど……。
目の前の紙には、『柏木凛人』と名前や生年月日、住所などもしっかり明記されていて、その横には印鑑も置かれている。
僕を挟んで両親が両側に座っていて、目の前には明らかに仕立てのいいスーツを着た男が座っている。
「こちらが契約書になります」
スーツの男の横に座っていた男がクリアファイルに入れられた書類の束を机の上に置いた。
契約書……。
決して番契約ではない。だけど、男女ではないし、普通の結婚でもないから後々の事を考えれば、契約書が必要なのかもしれない。
ましてや相手は有名なαの血統。
もしも、子どもを産んだ後に離別されても保証してくれるという契約でもある。Ωとして身を守るためのことだ。
視線をちらりと上げて相手を盗み見る。
僕は平凡な大学生だ。アイドルのような顔でもないし、ファッションセンスがいいわけじゃない。
少し癖のあるこげ茶色の髪と同じ色の瞳は生まれつきだ。身長は母親似で、さほど高くは無いし、筋肉も付きにくい体質なのか細身だ。
両親はこのαからの番の申し出に両腕を上げて大賛成した。俺が突然発情期を迎えてもβの両親にはその対処が分からないし、番になってくれるようなαを探してくるツテもないのだから。
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