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そういうふうにできている1

「え? 結婚?」  高校から同じ大学に入った親友の日永尊(ヒナガ タケル)は飲んでいたカフェオレのパックを握りしめて驚いた表情で俺を見つめた。 「……うん」 「え? 誰と? 彼女いたっけ? だって、凛人就職の内定取れたって言ってたのに……え? なんで?」  急な話に尊は驚いて思考がついてこられない様子だ。 「昨日、相手が家に来て婚姻届置いて行った」 「えっ、だから、凛人ちゃんと説明して?」  顔を覗き込むようにして顔を近づけた。  大学の学食。話があるからと尊を誘った。まだ昼食には早い時間で学生はほとんどいない。その奥のテラス席に向かい合って座っていた。 「先週、内定をもらった会社に新人研修の書類を取りに行った時に出会ったんだ。ほら、僕はΩだろう」  友達の中で唯一尊には僕が未完のΩであることは告白している。家にも何度も遊びに来たことはあるし、僕の両親から僕に何かあった時に助けて欲しいと伝えてあった。僕が突然発情期を迎えてもβの尊はαのように性衝動に襲われることは無いから。  尊はβだから『出会った衝撃』を理解できるとは思えないけど、「『運命の番』ってやつに」と小声で伝えた。 「あれって都市伝説だろう?」  尊は苦笑いで、信じていないふうだった。  僕だって、あんな衝撃を受けなければ『都市伝説』と笑い飛ばしていただろう。 「でも……多分。間違いない」  ため息を付くように言ってうつむいた。 「でも、凛人ってΩだけど、発情期無いだろう?」

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