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そういうふうにできている6
「そうなんだ。凛人の気持ちを大切にしてくれる相手なら、きっと大丈夫だよ。『運命の番』なんて絆があるんだから、きっと、大事にしてもらえるよ」
尊は笑って、「結婚式には呼んでくれよな」と言った。
「いつになるか分からないけどね」
僕の気持ちはいつ定まるのか、本当に惹かれ合うのか、男の嫁で務まるのか、番になれるのか。
不安なことはたくさんある。
尊と別れて大学が終わると自宅に帰った。
もらった契約書は机の上に置いてある。
文字で埋め尽くされたその書類をペラペラと捲ってみた。
頭が、痛くなってきた。
難しい言葉で書かれているが、もしも番が解消されても責任は取ってくれること、子どもはお互いの同意のもとで作るということ、親権は徳重家が持つということが書かれていた。
他にも生活費や収入、貯金などについても書かれていた。
僕が学生ということもあって、収入や貯金については自己財産として持っていてもいいということらしい。といっても、ほとんど無いに等しいのだけれど。
最後に、『お互いの同意のもと、契約内容については変更する』と書かれていた。
徳重慎也は非の打ち所のないエリートαだ。
なんの取り柄もない僕で大丈夫だろうか。
本当に番になんてなれるのだろうか。
不安は募るばかりだ。
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