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そういうふうにできている7

 慎也からの要望で、婚前同棲をすることになった。僕が婚姻届けにすぐ印鑑を付かなかったことも要因ではあるだろう。  大学を卒業してからでもいいではないかと訴えたが、あの意地悪な秘書が徹底的に反対してきたのだ。αの徳重家に結婚を待たせた上に、お互いを知ってからとそちらが言っているのに譲歩もしないとグチグチと……。こちらはΩで貰ってもらう立場だから仕方が無いと、両親にも説得されて僕は慎也のマンションに住むことになった。  迎えにはあの意地悪な秘書がやってきた。  黒塗りの車はスモークが貼ってあっていかにもな高級車。連れて行かれたマンションは入り口にコンシャエルジュ付きのペントハウス。  慎也はそこに一人暮らしをしているらしい。いきなり徳重家の両親と同居では無かったことに安堵はしたものの、二人きりっていうのも不安だ。  荷物は先にまとめて送ってあるので、財布と携帯の入った小さなカバンひとつだ。  マンション前の玄関で降ろされて、「私は仕事があります。慎也様がお待ちです」と言って去っていった。出迎えたコンシェルジュは中年の紳士だ。 「徳重様は最上階のお部屋です」  そう言うとエレベータまで案内された。 「あ、ありがとうござます」  荷物を持とうと言われて、エレベータのボタンを押してくれた。エレベータが来るまで横に立って見送られる。  馴れないことに戸惑いながら、開いたエレベータに急いで乗り込んだ。  ダークブラウンを基調にした綺麗な内装のマンション。最上階ということは、値段だって最上級だろう。  エレベータを降りるとエントランスは無く、すぐに玄関だ。  場違いだな。  母に着せられたスーツを着てきたが、このマンションを目の当たりにすると陳腐だ。  まぁ、これは気持ちの問題だから、と自分に言い聞かせてインターフォンを押した。

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