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そういうふうにできている11
慎也は微笑むように笑うと、四つん這いになったまま僕を見上げた。その獣のような姿勢がまだ僕を狙っているように見えて足がすくんで動けない。
「……分からない」
これは本当だから嘘はついていない。
いつなんて、僕にも分からないし、一生来ない可能性だってある。
「今時中学生でも自分の周期ぐらい知っているぞ」
中学生も相手をしたことがあるんだろうか。間違いなく犯罪だろう。
特級のαだからと言って許されているはずはない。
慎也はゆっくりと立ち上がると僕に近づく。
「まぁ、一緒に住んでいれば嫌でも発情期はわかるからな。医者は穂高に頼んでおくから今までの抑制剤は使うなよ」
慎也はもう一度僕の肩に顔を近づけて上機嫌に「この甘い匂いはいいな」と呟いて僕から離れた。でもすぐに振り返って、「せっかくだから夕食は食べに出よう」とポケットから携帯を取り出した。名前と人数を伝えて数口話すと電話を切った。
「惚けてないで仕度をしろ。ネクタイは必要ない」
慎也は自分の部屋だろうリビング横のドアを開けて部屋へと入っていった。
仕度をしろと言うからには、この格好ではダメなのだろうなと安直に考えた。
だけど、服なんてどれも同じような物ばかりだ。
スーツは就職活動の時に作った今着ている物しかない。結婚の日取りが決まれば改めて礼服を作る予定だ。
自分の部屋と言われた扉を開くと、ベッドと机があり、壁一面が収納となっていた。先に送った荷物はすでに収納されていた。
「服って……」
窓から外を見ると、すでに暗くなっている。
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