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そういうふうにできている13

 収納の扉を開けると、自分の服とは違うジャケットがいくつかかけられていた。 「誰の?」  一つ手に取ってみるが、背の高い慎也のサイズとは明らかに違う。あの、穂高という秘書も僕よりは背が高かった。  もしかして、僕の?  胸に当ててみるとサイズはピッタリだ。  ベッドにそれを置くと、下の引き出しを開いた。  送った服と共に、自分の物では無いズボンが数本入っていた。もちろんシャツも。 「これって、高いヤツじゃん」  シャツのタグでどこのブランドか分かって、青ざめた。シャツ一枚が数万円のブランド。  やっぱ、金持ちは違うな。こんなにたくさんぽんっと用意出来るほどだなんて驚きでしかない。 「これなら、どこに連れて行かれても文句は言われないな」  普段の自分のジーンズとTシャツ姿を思い出してため息をこぼして、「甘えさせて頂きます」と服を選んだ。  着替えて持っていた小さなカバンを手に取ると、再びリビングに戻った。 「なかなかいいじゃないか」  慎也は上機嫌にそう言うと、「行くぞ」と言って、先に玄関に向かって行った。 「お前の靴はここに入っている。カバンはそれしか持ってないのか?」 「これじゃ、駄目ですか?」  少し前に買ったばかりのお気に入りのカバンだが、慎也は気に入らない様子だ。 「駄目じゃないが、今度カバンを選んでおこう」  そう言って、「これを履け」と靴を出された。  サイズはどうやって調べたのだろうか。ピッタリの靴に驚いた。 「ああ、カギはこれだ」  玄関から出ようとして、ふっと思い出したように慎也は自分のキーケースからカギを取り出して、「なくすなよ」と手渡された。

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