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そういうふうにできている15

「予約席は奥に用意してあります」  僕を見て、「慎也のツレにしては可愛いね」と声をかけた。 「智晴。それは俺の嫁だ。ナンパするな」  さらりと答えた慎也に慌てた。 「ち、ちょっと、僕はまだ……」 「店先で騒ぐな」  慎也は驚く僕を置いて店の奥へと進んで行った。  満席というほどではないが、店の中にはほかの客もいた。慎也は馴れた様子で店の奥へと進んで行く。智晴と呼ばれた店員は僕の後ろからついてきた。店の一番奥の4人掛けの広いテーブル席。慎也はその窓際に座ると、「適当に頼め。俺の分は智晴に任せる」と言った。 「じゃあ、メニューをどうぞ」  にこにこと笑いながら智晴さんは手に持っていたメニューを広げて僕に渡して、「後ほど伺います」と言ってテーブルから離れて行った。 シンプルなメニュー表。ファミレスやファーストフードのメニューとは違って、値段も書かれていない。  せめて、『本日のおすすめ』的なのもがあればいいのにと思いながら、ちらっと慎也を見る。 「同じ物を頼んでもいいですか?」  尋ねると、「ああ」と返事をして片手を上げた。すぐに智晴ではない店員がやってきて、「同じものを」と伝えた。  それで通じるものかと思ったが、店員は会釈して下がっていった。 「智晴さん? って知合いですか?」  やり取りを見ているととても親しいようだ。笑って会話を交わすほどだから、慎也とは仲がいいのだろう。 「この店の店長で、母方の親戚だ。仲がいいわけじゃない」 「じゃあ、なんで僕を『嫁』って言ったんですか」  親戚に『嫁』なんて紹介したら瞬く間に結婚が決まってしまうのではないだろうか。

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