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そういうふうにできている16

 僕には待ってくれる素振りを見せたくせに。 「間違いではないだろう?」 「ま、間違いって……それは、僕たちは運命の番かもしれないけど、まだ番ったわけでもないし、それだって、本当にそうなのか確証も持てないんだから……」  本当に信じたわけじゃない。それに慎也とやっていける自信は微塵もない。 「お前は信じてないんだな?」 「……信じてないわけじゃない……」  同じ衝撃を慎也も受けたことは間違いないはずだ。身体が熱くなるほどの衝撃を。だけど、それが本当に『運命の番』かどうか確信は無いし、まして、僕は男だ。  嫁として迎え入れられるということが素直に受け止めきれない。戸惑うばかりなのだ。 「じゃあ、何が問題だ? 穂高が言うようにさっさと番になって結婚して、子どもでも作れば信じるのか?」 「そ、そういうことじゃないよ」  そんな極端なことじゃない。慎也はαで、なんでも命令できる立場にあったから、Ωを下に見るなんて普通だったかもしれないけど、僕は一般家庭の、それも突然変異のΩなのだ。戸惑って当たり前だ。慎也やあの秘書はそれを理解してくれない。 「じゃあ、何が言いたいんだ」  慎也は苛立たし気に言った。 「僕が受けた衝撃は間違えないよ。きっと、運命の番だと思う。だけど、僕は男で『嫁』なんて言われて嬉しくもないし、まだ受け入れられない」  素直に告げる。怒られているわけではないけど、なんだろう、このαの威圧的な態度に服従してしまう。  これはαのフェロモンの一種なのだろうか。

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