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そういうふうにできている31

 ぐったりしている僕をみて穂高は勘違いしたようだ。 「こんなことならさっさと番契約をしてしまえばいいんだ」  穂高の怒った声に、「……す、いません」と謝った。 「もう、穂高。いじめないであげて。凛人君やっと落ち着いたところだから」 「虐めてなどいません」  穂高は言い返すと、「ほら、しゃんとしてください」と僕に言った。  自分で動けるならそうしたいけど、動くことができないのだから仕方がない。  自分のせいでもないことで責められて、痴漢にあった恐怖と身体の自由が利かない状況に情けなさが募ってくる。  自分の嫁だなんて言っておきながら、迎えにも来ない。家でも顔を合わせない。  『運命の番』だなんて言われて急に同居が始まって、嫁だと言われて、僕が戸惑わないはずがないのに……。  心細さが募って、収まったはずの涙がまたポロポロと溢れ出す。一度緩んだ涙腺は簡単に締めることができないのか、止めることはできない。 慎也は発情期が来るのを待っているなんて冷たく言うだけで、優しいことなんて言ってくれない。無理矢理に押し倒したり、首に口づけしたりして僕の反応を楽しんでいるようにしか見えない。  智春さんが言ったように甘えるなんてさせてもらえない。  それなのに、運命に束縛されるなんて。  ギュッと胸が締め付けられる。 『バタン』  車から音がした。僕を支えていた穂高が顔を上げて身体ごと振り返ったから、その勢いで僕は顔が上がって、それが誰だかすぐに分かった。 「穂高、まだか」 『ズクン』っと身体が反応した。

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