37 / 127

そういうふうにできている32

 ただ声が聞こえただけなのに。  自由の効かなかった身体に一気に血が巡ったように熱くなった。首から熱が生まれる。 「……うわぁ……露骨」  智春の声が耳に飛び込んだ。 「渡せ。俺が抱く」  穂高の腕から慎也の腕に倒れ込んだ。  正面から抱き締められた。ゾワゾワっと身体が震えて口から息が漏れた。 「何だ? 発情期が来たのか?」  慎也の言葉に、「そうじゃないけど、その反応は露骨だね」と智春が言った。智春も穂高も口と鼻を押さえるようにして後ずさる。 「何があった?」  声が。  腕の中に抱きかかえられて、その声が近くで聞こえる。  逞しい腕がぐったりしたままの僕を支えている。 「慎也にだけってのもすごいけどね」 「これが運命の番ってことなのでしょうね」  2人は顔を押さえているので声がくぐもっている。 「慎也様。車の鍵は付いていますから、このままお帰りください。私は智春に詳しい事情を聞きますから」 「そうだな。その方が安心だ」  智春と穂高が、「早く帰ってください」と声を揃えた。 「帰ったら話してもらうからな」  慎也はそう言うと、車の後部座席に僕を押し込むと運転席に座って、車を発進させた。  自分でも驚いた。  慎也が来た途端に、自分が発情したことに。  あの痴漢男の服従フェロモンが一気に、慎也への発情フェロモンに変わったのを感じた。  それは智春や穂高にもバレていて、恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じた。

ともだちにシェアしよう!