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そういうふうにできている32
ただ声が聞こえただけなのに。
自由の効かなかった身体に一気に血が巡ったように熱くなった。首から熱が生まれる。
「……うわぁ……露骨」
智春の声が耳に飛び込んだ。
「渡せ。俺が抱く」
穂高の腕から慎也の腕に倒れ込んだ。
正面から抱き締められた。ゾワゾワっと身体が震えて口から息が漏れた。
「何だ? 発情期が来たのか?」
慎也の言葉に、「そうじゃないけど、その反応は露骨だね」と智春が言った。智春も穂高も口と鼻を押さえるようにして後ずさる。
「何があった?」
声が。
腕の中に抱きかかえられて、その声が近くで聞こえる。
逞しい腕がぐったりしたままの僕を支えている。
「慎也にだけってのもすごいけどね」
「これが運命の番ってことなのでしょうね」
2人は顔を押さえているので声がくぐもっている。
「慎也様。車の鍵は付いていますから、このままお帰りください。私は智春に詳しい事情を聞きますから」
「そうだな。その方が安心だ」
智春と穂高が、「早く帰ってください」と声を揃えた。
「帰ったら話してもらうからな」
慎也はそう言うと、車の後部座席に僕を押し込むと運転席に座って、車を発進させた。
自分でも驚いた。
慎也が来た途端に、自分が発情したことに。
あの痴漢男の服従フェロモンが一気に、慎也への発情フェロモンに変わったのを感じた。
それは智春や穂高にもバレていて、恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じた。
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