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そういうふうにできている33
どうしてそうなったのか、自分では分からない。分からないけど……、分かった気がする。
駅ひとつだからマンションまではすぐに着いた。地下の駐車場に車は静かに停まって、運転席を降りた慎也が後部座席のドアを開けた。シートに横たわったままの僕に腕を伸ばして起こす。
「ほら、着いたぞ。ここでヤられたくなかったらさっさと降りろ」
「……んな、こと言われて、も。動けない」
シートに座ったまま身体に力が入らない。
「腰でも抜けたのか?」
慎也は言いながら手を貸してくれて、なんとか車から降ろしてくれた。
「ったく、どこででも発情するなんて、はしたない奴だな」
グサッと心に刺さって、「そうじゃない」と言い返した。か細い声に慎也は眉間に皺を寄せた。
「こんな甘い匂いをさせて周りを誘ったんだろう?」
「違うって……これは痴漢が、αで……僕は身体が動かなくなって……智、はるさんが、助けてくれた」
「痴漢だと?」
慎也はますます不機嫌な声になった。
「そう、だよ。智春さんが、言うには……服従フェロモンってやつで、僕は、何もされてない……」
車体にもたれて力の入らない身体を支えた。気を抜くとずるずると地面に座り込んでしまいそうだ。
「じゃあ、発情期じゃないんだな?」
「違うって……言ってるじゃん。僕だって……こんなことされたの、初めてで……」
痴漢に遭うのだって初めての経験だった。もう電車になんて乗りたくない。気持ち悪く身体を触られた感覚が今も残っていて、払拭したいのに身体はいうことをきいてくれなくて、未だに恐怖は拭えない。
顔を歪める。
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