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そういうふうにできている37

「お前がその気なら、最下層のΩに落としてやるからな。俺との番を破棄するならそのつもりでいろ」  掴んだ腕を払うようにして慎也は手を離した。  僕はそのまま自分の部屋に飛び込んでベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。  『最下層のΩ』ってことは、一度は番になって、それを破棄されるということだ。破棄されたΩは発情期を再発して二度と番にはなれず、一生を発情期に苦しめられることになる。身を落として、花売りになるΩも少なくない。  それに破棄されたショックで、精神を崩すΩもいる。普通の番でもそんなことが起きる危険性があるのに、『運命の番』を解除されたら、死んでしまうかもしれない。  いくら発情期が来ていないからといっても、落とされるのは怖い。  今日の痴漢のような男に買われて、犯されて……。  唇を噛みしめると、枕を抱き締めて身体を丸くした。αの服従フェロモンがあんなに怖いものとは知らなかった。  慎也が落ち着かせてくれて身体は動くようになったし、発情期のような熱くなる衝動も抑えられた。  なのに、慎也自身は冷たい。  智春さんは甘えさせてもらうといいなんて言ったけど、慎也との間にそんな甘い雰囲気なんて無い。激しい口付けはされたけど、あれは発情した僕のフェロモンに充てられてのことだろうし、外出禁止なんて言って僕の自由を奪って、大学も会社に入ることも奪おうとしている。  慎也はただ僕を自分の自由にしたいだけなんだろう。徳重家の嫁として、じっと家にいて、子どもを産んで……。男の嫁なんて初めてと言っていたから、それも恥だとでも言いたいのだろう。  僕を閉じ込めて、ひと目に晒さずに……。  急がなくていいなんて言っておきながら……。  ため息を零すとギュッと枕を抱き締めたまま目を閉じた。

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