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そういうことなのだから3
智晴さんが電話をして、それで心配して僕を迎えに来てくれたんだ。車から降りて来たのが穂高さんだったから、僕は気落ちしてしまって、後から降りて来た慎也さんに、穂高さん任せなのかと余計にいら立ってしまった。
「そうですよ。迎えに行く車の中でも仕事の電話をしていたんです」
だから穂高さんが先に降りて来たのかと納得した。本当は僕を心配していたのか。だから、あんなにいら立って僕を責めたのかと納得した。
「だけど、外出禁止って酷いじゃないですか。僕には大学にも会社にも行くなって、恥をかかせるのかって言ったんですよ」
その上、嫁になるのを拒めば、最下層のΩに落とすとまで。
「それは、あなたが心配ばかりかけるからですよ」
「心配ばかりって、痴漢にあったのは昨日が初めてで、慎也さんには何も心配なんてかけてないですよ」
「あなたはそうかもしれませんが、慎也様はあなたとの時間を作ろうとここ最近は仕事を詰めて会社に泊まり込んで仕事をしていたんですよ。もうすぐ卒業が近いからと色々計画されていて……それなのに昨日のようなことがあっていら立ったんだと思いますよ」
穂高のあきれるようなため息に心が責められる。
「僕だって、慎也さんとは時間を作ろうかと思ってたし……」
昨日は学校で尊に相談したばかりだったのだから。
「『急がない』と慎也様はいわれましたが、私達は早々に番になってもらって、心身ともに繋がりを強めて仕事に専念して頂きたいのですよ」
昨日のようなことが度々起これば、慎也は仕事を放棄して駆けつける。番になってしまえば、発情期も無くなって、慎也にだけしか僕のフェロモンは反応しなくなる。そうすればほかのαに襲われることも無くなる。だから、穂高さんは番になることを急くのだ。
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