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そういうことなのだから4
だけど、慎也は急がないと言ってくれた。それは僕に与えられた慎也の心配りだ。周りに急かされて責められているのは慎也なのだ。
仕事が滞れば責められるのも慎也だし、僕に何かあれば責められるのも慎也なのだ。
「外出禁止にすれば、あなたを危険から守れると慎也様は思われたんでしょう」
「そんなの言ってくれなければ分かりません」
そんな分かりにくい優しさなんかより、言葉で説明してくれたらいいのに。
「慎也様は言葉で表現するのが……おはようございます」
寝室に続くドアが開いて、しっかりスーツに着替えた慎也が出て来た。
「とっくに時間は過ぎているぞ。遅刻による損失はお前の給料から差し引くからな。それと、こいつを実家に返して来い」
慎也は機嫌悪く言った。穂高さんと話して少しは気持ちが懐柔されたというのに、開口一番にこんなことを言われれば腹も立つ。
「…………」
返事をしない僕の代わりに穂高さんは、「もうしばらく様子をみましょう。お話はお伺いしましたので、今月中は外出禁止ということにいたします」と返事をした。
「えっ。僕、学校に行くけど……」
「必要書類などは提出させて頂きます。資料などが必要でしたら、慎也様のお部屋にありますので……許可頂けますか?」
「致し方ないな」
慎也は自分の部屋の扉を開けた。
「中にいる時はドアを開放しておけ」
「資料はそちらをお使いください。講義に関しましては、卒業に必要な単位はすべて取得済みとなっておりますし、特別講義は……」
穂高さんの説明をうけて、僕がここから外に出る理由はすべてなくなってしまったことに頷くしかなかった。
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