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そういうことなのだから7
見つけてしまった写真に驚きながら、ドキドキと高鳴る胸を抑えて写真を元の場所へと戻した。
あの美術館を初めて見た時と同じ昂ぶりだ。ギュッと目を閉じて胸の前で両手を握り合わせた。
慎也と初めて会った時と似ている。
『カチャン』
背後で音がして振り返った。
「やっぱり発情期なんじゃないか?」
意地悪く笑いながら慎也は近づいてきた。目の前まで来ると足元に持っていたカバンを置いて、僕の頬に触れた。
「……違う。発情期なんかじゃない……」
だって、目の前のこの人に抱かれたいという衝動は無いから。熱く胸は高鳴っても、この人の子どもが欲しいとは思っていないから。
ただ、頬に触れた指先から熱が伝わって来るのを感じて、『もっと触れて欲しい』と擦り寄ってしまった。
はっとなって後ろに下がるが、背中はすぐに本棚にぶつかった。
慎也は顔を近づけると屈むようにして僕の首筋に顔を近づけて鼻を鳴らした。
「甘い匂いがする」
昨日の夜のような口付けをされるんじゃないかと、勝手に身体は甘く期待する。自分でも分かるほどに、慎也に対して発情してしまうのを感じる。
ギュッと目を閉じてその発情を抑えようとしているのに、心を裏切って身体は勝手に慎也の手に甘えるように擦り寄ってしまう。
「委ねてしまえば楽になるぞ」
優しい声音で慎也が耳元で囁いた。身震いしてしまう。首を横に振る。
「……ぼ、僕は、発情期なんかじゃ、無い。どうして、あんたにだけ、反応するのか……分からない」
それが運命の番ということなのかもしれないけど、心がついていかない。
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