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そういうことなのだから10

「来月初旬に両家の食事会を開き、結納を済ませて、翌月には徳重家の新年度の集会がありますので、そこで凛人さんの紹……」 「あのっ、ちょっと待ってください。僕はまだ……」  慌てて遮るが、穂高は機嫌が悪そうに僕をじっと見る。 「結婚は先でも結構ですが、お互いが番であることは間違いありませんので、今後のことを考えて、早々に番としての紹介をさせて頂きます」  言いきった穂高に、「でも」と食い下がった。 「凛人さんにはご理解頂けないようですが、番と気持ちは別です。それは心と身体が別なのと同じです。我々αはΩの発情には敏感です。徳重家は由緒正しいαの家系。Ωの発情をけしかけてくる輩も多いのです。運命の番という絆が2人の間にある以上、凛人さんには慎也様の番に少しでも早くなって頂きます」 「それは、そっちの都合で、僕は納得できない」  慎也がΩの色仕掛けの罠に落ちる前に、僕と番わせようとしているということだ。 「納得なんて必要ありません。慎也様には『番』が必要なだけです」  目の前が暗くなるのを感じた。 「穂高、もう少し言葉を選べ」  ようやく口を開いた慎也は苦笑いだが、穂高さんの言葉を否定はしなかった。 「じゃあ、なんで互いを知るためになんて言って同居を言いだしたんですか?」 「お前の発情期を待っているからだ」  だから、来てすぐに発情期はまだかと聞いたのか。 「これから先……長い人生を共にしようというのに、簡単に言わないでください」 「気に入らなければ、解消してしまえばいい」  やっぱり慎也はαなのだ。

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