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そういうことなのだから12
「長く一緒に……共に生きていくなら、必要だよ。優しくできるのは相手を愛しく思うからだよ。支え合って生きていく関係を作るには優しさは必要だよ。身体だけの関係なんて僕には受け入れられない」
そんな関係を求めるなら僕以外の人間を囲えばいい。
「お前との関係を断とうにも一度は番にならなければならない」
一度番にならなければ、運命の絆を断ち切ることはできない。
「そんなの…………無理だよ」
だって、番にもなれないかもしれないのに。僕には発情期が一度だって来ていない。これからいつ来るのかも分からない。
「そんなに慎也様には魅力が無いんですか?」
「そういうことではなくて……僕はいまだに」
発情期を一度も迎えたことは無いと告げようと口を開くが、穂高が畳みかけるように言葉を遮った。
「今すぐに結論を出さずとも、一緒に過ごしていれば情も湧くでしょう。それからもう一度話し合いをしてください。一度は番にならなければなりませんので、その段取りだと思ってくだされば結構です」
穂高はさも面倒くさいという風でため息をこぼす。僕が番になることは決まったことだと何度も繰り返すことが面倒なのだろう。
破棄するにしても、一度は番にならなければならない。番が解消されれば離婚ということだろう。
慎也はそれにこだわらない。Ωの代わりなんている。Ωでなくても、徳重家の嫁になりたい女性も簡単に見つかる。
隣に座る慎也に視線を向けるとじっと見つめていた。それがどういう意味なのか僕にはわからなった。
「いつまでも険悪なままではお披露目も上手く行きそうにありませんので、今度のお休みを利用して、関係改善に努めてください」
「こいつ次第だろう」
慎也が僕の頭を軽く撫でた。ビクッと首をすくめた僕に苦笑いですぐにその手を引いた。
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