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それがそうなら7

 慎也は、「それは楽しみだな」と笑った。  慎也の笑った顔なんて初めて見た。  意地悪く笑ったことはあっても、楽しそうに笑うなんて初めて見た。  ドキッとして見つめてつられて僕も笑顔になった。緊張が無ければこんなに自然に笑える。  慎也が笑ったら、何だろう、嬉しくなってしまった。 「凛人さん、抑えてください。ここは外ですから」 「何ですか?」  穂高は落ち着かない様子で回りに視線を巡らせる。 「無自覚でそれですか。私は心配でなりません。明日はやはり私も一緒に……」 「大丈夫だ。俺が何とかする」  慎也は笑って、「これは楽しいな」と呟いた。 「私は心配でなりません」  穂高は声を荒げたが、慎也は笑っているだけだった。  せっかくの休みだから、ゆっくり起きて気が向いたときに出かけようと言って、ハウスキーパーも今日は休みにしてもらった。急ぐ予定も無いのだから。  遅い時間に起きて朝食は冷蔵庫に入っていたパンと卵を焼いた。  コーヒーをセットしていると慎也は起きてきて、「俺も」と言ってバスルームに入っていった。  いつもはびしっとスーツを着こなしている慎也が寝巻のままリビングに現れるのは初めてだった。  パンとコーヒー、うまく焼けた半熟の目玉焼きをキッチンと繋がっているテーブルに並べた。野菜が欲しいなとレタスをちぎっていると慎也が、「ベーコンも焼け」と言ったので卵を焼いたフライパンで冷蔵庫から取り出した厚いベーコンを焼いた。

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