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それがそうなら15
僕が見ていたことに慎也は気がついただろう。
さっきの女性はきっと、Ωだ。
上等なαに群がる、Ω。
「誘われても、俺にはお前がいる」
驚いて目を見開いた。
誘いを断っても僕を選んで来るってことだろうか。
代わりのΩなんていくらでもいると言った。最下層に落とすとも言われた。
だけど、今は僕を選んでくれたってことだろうか。
「何を驚いているんだ?」
「だ、だって……さっきのΩは女性だったよ」
男のΩより、女性のΩの方が慎也だっていいだろう。さっきの女性は綺麗な人だった。
お前がいるなんて、僕を選ぶなんて思ってもみなかった。
「お前は俺の番だろう」
そう、番。だけど、運命の番だけど、僕を選ぶ慎也を目の当たりにするのは初めてで、戸惑ってしまう。
街の中を歩きながらも慎也は注目されていた。隣を歩く僕はどんなにみすぼらしかっただろか。
だけど、慎也は『お前は俺の番だろう』と言ってくれた。
「うん」
頷いた僕の頭を慎也の手が撫でる。
目頭が熱くなるほどに嬉しくて、胸がギュッと詰まった。
「お、おいっ」
慎也が慌てて立ち上がった。テーブルに乗せた雑誌もそのままにして慎也が僕の手を引いた。
慎也が早足で店を出る。
ザワッとする。
なんだろう。
慎也が側にいるのに、人が僕を見ている。慎也は慌てたように早足で僕を引いて歩く。
「ど、どうしたの」
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