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そういうことだから1

 路地の古びたビルの壁に背中を押し付けられて、肩を押さえつけられる。  はぁはぁと荒い息が耳元に届いて、熱い唇が僕の唇を覆って、熱い舌が歯列を割って口内に侵入する。  慎也の肩に両手を乗せたまま、抵抗も出来ずにそのジャケットを握りしめる。 「……んっ……はぁッ」  鼻から抜ける熱い息が、頬をくすぐって慎也が片手で後頭部を引き寄せる。  触れ合った唇はこれ以上合わせられないのに、荒々しく貪られる。  甘い。  慎也から与えられる甘い快感が全身に広がる。その甘い快感を追いかけるように自分の舌が慎也の舌に絡まる。押さえつける後頭部にあった手が首筋を撫でる。そこからゾクゾクとさらなる快感が全身に広がって、かくんっと膝から力が抜ける。だけど、慎也が全身で壁に押さえつけているから、座り込むことは無かった。  ジーンズに抑え込まれた互いの物がこすれ合った。微かに反応していることは互いに分かっている。  だけど、止めることも制御することもできない。 「……んっ……あ」  快感に身震いする。  足元に転がったジュースの紙コップが踏まれてぐしゃりと音を立てるが、耳には互いの荒い息遣いと、心臓の音がどくどくと響いている。  これが、発情。  感じ取った発情にさらに煽られた気がした。慎也の肩に両腕を回して、引き寄せる。  もっと、欲しい。 『ドンッ』 「慎也様っ」  声がしたと同時に引きはがされた。

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