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そういうことだから3

 Ωの自覚。  俯いたまま唇を噛み締めた。  拾い上げた買ったばかりのマグカップの入った紙袋は、カチャンと割れた音がして一層罪悪感を煽った。  中身を確認しなくても音だけで、2つとも割れていることは分かった。  壊れてしまった物はもう元には戻らない。とても簡単に壊れてしまう。  紙袋もジュースで濡れてしまって今にも破れてしまいそうだ。  慎也の行ってしまった方向を見てもそこに姿は無い。  置いていかれてしまった。こんなに簡単だ。  スーツの男はβなのだろう。だけど、僕が慎也の運命の番でΩだってことは知っているだろう。 しばらくすると車が目の前に止まった。 「凛人様。お乗りください」  スーツの男に促されて僕は車に乗り込んだ。マンションまではすぐに到着して、スーツの男に付き添われて僕は部屋まで送り届けられた。  逃げるとでも思っているのだろうか。  男は僕がエレベータから降りて部屋に入るまでじっと見ていた。 「すぐにシャワーを浴びなさい」  玄関で待ち構えていた穂高に言われてそのままバスルームに向かい、汚れたジーンズを洗濯機に放り込んだ。  慎也がジュースを手に戻ってきて安堵して、気持ちが高ぶったのは自覚している。  その気持ちが慎也への気持ちであることも自覚した。  だけど、それだけで、僕は何もしていない。  落ち着けと言われても、何もしていないのだから……。  ざっと洗って着替えを済ませた。

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