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そういうことだから7
ぐずった僕は慎也のその胸に顔を埋めた。抱きしめる腕に安心感を得てしまった。
分かってる。分かっている。叶わないことぐらい。
運命の番と言われても、運命だと言われても、僕が惹かれていても、この運命に逆らうことが叶わないことぐらい。
だけど、だけど、僕は委ねてもいいと思ってしまった。
抱き締められた腕に、委ねてもいいと。
だけど、僕は完璧なΩじゃない。
凛、と慎也が呼んだ時、僕は心が揺らいだんだ。
お前が俺の番だと言われて、選ばれたことを喜んでしまった。
Ω本能が、αを受け入れたように、僕は、慎也を受け入れてしまった。
そこがどことか、分からなくなるほどにあの口づけに僕は委ねてしまった。
慎也はすでに気がついているんだろう。
僕が、本能のままに委ねてしまったことに。
「穂高も言い過ぎだ」
慎也の言葉に穂高は食い下がったが、慎也が一括すると穂高は「申し訳ありません」と謝った。
抱き締められたまま少しずつ落ち着きを取り戻す。
慎也の手が僕の頭を何度も撫でる。
「俺も自制が利かなかったことに反省している」
慎也の声は落ち着いていて、いつもの威圧的な感じは受けない。
慎也に促されてソファーに座る。
背中を優しく撫でられて、徐々に落ち着く。いつものようなざわざわとした感覚は無い。
慎也と穂高は黙ったまま僕が落ち着くのを待ってくれた。
「凛人さん。一つ、確認ですが……発情期はいつから来てないのですか?」
穂高は真剣に僕に聞いた。
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