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そうやって、そうなって2

 恐怖を感じると足が進まなかった。  そして、慎也に守られていたことを知った。  外出禁止にしたのは僕を守るためだったんだ。慎也に反応していても、他のαに反応しないとは限らない。痴漢に遭ってそれを自覚する前に、僕が外に出る恐怖を感じる前に遮断してくれた。  初めに未完のΩだって言えば良かった。  出会っただけで済んでいたはずだったのに。  慎也に言えなかった。 出会った瞬間に惹かれていたのかもしれない。運命に抵抗していただけかもしれない。自分の意志だって思いたかったんだ。  だから、委ねてしまえと慎也に言われて、運命の番だって選ばれて喜んで、欲張ってしまった。  未完でも受け入れて貰えるって。  慎也にも、運命じゃなく自分の意志で僕を求めてくれるかもしれないと、欲張ってしまった。  でも、違ったんだ。  慎也に必要なのはαの子孫を産める完璧なΩだ。僕のような未完成の出来そこないのΩじゃない。  ため息をついて寒くもないのに布団の中に潜り込んだ。  連絡なんてこなくていい。このまま無かったことになればいい。  終止符を打たれるのが怖い。  どうして、僕には発情期が、来ないんだろう。  名ばかりのΩ。  慎也さんがもっと煽ってくれたら、そのフェロモンを与えてくれたら……慎也にだけ反応するΩに、慎也にだけのΩになれたかもしれない。  発情期がくれば番になれる。  僕は、慎也が欲しい。  数日経って、「お客様よ」と母が部屋をノックした。  穂高が検査の迎えに来たのかとも思ったけど、それは智晴だった。

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