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そうやって、そうなって8
すでに医師が待っていた。
簡単な質問をされて、血液検査やCTスキャン、触診、尿検査……数時間もかけて念入りに調べられて、「異常なし」と「発達異常」の2つを言い渡された。結果は以前来た時と同じ。
「身体的異常はありません。とても健康です。発情期を迎えていないということですが、検査の結果を見ても特に異常は見受けられません。全てのΩが発情期を迎えますが、その時期は大体、第二次性徴期前後。β同士の両親からの突然変異ということですが、どなたか親戚にΩはいますか?」
医師に聞かれて、「いません」と答えた。
再検査を受けた時に調べたが、親戚にΩは誰もいなかった。
「とても珍しいケースですので、未発達のΩとしか言いようがありませんね」
医師も僕に発情期が来ないことにはお手上げのようだ。
「今後、発情期が起きるかもしれませんが、その時期も特定はできません」
横に座っている穂高も結果を聞いて、「そうですか」としか返事はできなかった。
「彼は運命の番には発情反応をしているのですが、それによって発情期が促されることはありますか?」
「運命の番ですか……。それも曖昧なものでして、魅力的なαには発情期では無くても相手を手に入れようと発情フェロモンを出してしまうのが、Ωの性とも言えますし……」
医師は歯切れの悪い返事をしながら、カルテを捲る。
「僕は、発情フェロモンなんて出してない」
慎也と出会うまで、あんな衝撃を受けたことも無いし、痴漢に襲われるようなこともなかった。
本当に、普通のβと同じように生活していたのだから。
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