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そうやって、そうなって9
「無意識ということもありますから、いつ発情期が起きてもおかしくはないし、来ない可能性もありますし……」
相変わらず曖昧な回答の医師に、「分かりました」と席を先に立ったのは穂高だった。
促されて診察室をでて、「念のため」と抑制剤を大量に渡された。
穂高に車に乗せられた。
「今後については、改めてご実家へお伺いします」
静かな車内。穂高の言葉は最後通告のようだった。
今後は無いと、先に渡された書類が答えだと言われた気がした。検査に疲れてぐったりとして、気持ちまで萎えてしまう。
結局なんの解決にもならなかった。
ため息を零すと、「慎也様が、今夜、お食事でもと言っていました」と穂高が言った。
「……行きたくないです」
今更慎也と仲良くしても仕方がないのだから。
こんなに沈んでいるのに、食欲なんてない。
「いえ、『チョコレートアイス』を用意しているから、ぜひ連れて来るようにと言われています」
車窓から外を見ると実家とは違う方角へと向かっている。
「断れないんですね」
「慎也様の御意向ですから」
「まぁ、α様ですからね。検査結果は伝えるんですか?」
嫌みの一つぐらい言っても許されるだろう。目の前のこの人もαだけど。
検査結果は穂高が伝えるんだろうか、それとも僕から伝えた方がいいんだろうか。
「慎也様は『こだわらない』そうです」
「それってどういう意味ですか?」
慎也が結果にこだわらないという意味が分からない。発情期はまだかと、いつも発情期を気にしていたくせに。
「さぁ、私にもそれは測りかねます」
午後からの検査で、外はすでに暗い。
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