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そういうふうにできていた6
ギラギラと欲望に濡れた瞳が見つめて、「後悔するなよ」と呟く。
「うん。発情期なんて、来ないけど僕は、あなたの番です」
胸が潰れそうに苦しくなって、こめかみを涙が伝った。
発情期のない未完のΩなんて、βと変わらない。αの子孫を望む徳重家からは反対されるだろう。番になることも叶わず、慎也にはこれまで以上にΩからの誘惑が増えるだろう。だけど、僕は慎也に抱かれたいと望んだ。
「番なんて気にすることはない。俺の番はお前だ」
慎也が微笑んだ。
さっきとは違う胸の苦しさに熱い吐息が零れる。
このαが僕の番。
このαが欲しい。
「あまり誘惑するな。理性を抑えられなくなる」
「慎也さん、どうにかして……」
自ら慎也を引き寄せて腰を浮かせる。Ωのせいなのか、はしたなく求めてしまうことは止めることはできない。体中の熱が慎也を求める。
「欲しい」
欲しい。上等なαにΩの本能が誘惑される。発情期でもないのに、本能がこのαが欲しいと反応する。
身体を起こした慎也が指先に取ったゴムを付ける。指で溶かしたところへとあてがった。押し入ってくる感覚に身体が逃げてしまう。
慎也は僕の両足を自分の肩に持ち上げて、さらに足を広げさせる。慣れない姿勢だけど、身体は逃げることはできなくなった。腰が上に浮き上がって、慎也のそれが上から押さえ込むようにしてゆっくりと進んでくる。
「うっんっ……」
指とは明らかに違う質量と熱を感じる。
慎也が入ってくる。
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