105 / 127

そういうふうにできていた13

 抑制剤が効いていても発情期は続いているから少しの刺激でも快感へと変わってフェロモンは流れ出す。 「もうすぐ穂高と医者が来る。お前が完璧なΩだという証明書を書いてもらうまでは我慢しろ」  それが済めば番になれる。  この発情期を抑えて貰える。 「僕を……番にして、貰えるんですか?」  改めて聞いてみる。  項を慎也の指先が撫でる。 「障害は何もない。運命を受け入れろ。すぐに俺のものにしてやる」  指先が強く項を摘まんだ。  ああ、あの熱さに再び抱かれる。怖いほどの快楽の波に飲み込まれてしまう。  欲求が生まれる。  見上げて見つめ合って、熱い吐息がこぼれて熱い唇が触れ合ったが、「おはようございます」という声に口付けは遮られた。 「ああ、確かに発情期のようですね」  穂高の声が聞こえて、真也が唇を離した。穂高が察するほどのΩのフェロモンが立ち上っているのだろう。 「遅いぞ」  機嫌が悪そうに答えて、「もういいか?」と聞きなおした。慎也に回した手で服を引き寄せる。 「まずは血液検査と尿検査を行います」  穂高は医師を伴って寝室に入り、慎也を掴んでいる僕の手を引きはがした。慎也は僕をベッドに座らせて立ち上がった。 「さぁ、慎也様も隣の部屋へ」  これ以上そばにいれば、いくら薬を飲んでいてもΩのフェロモンに当てられてしまう。 「ドアは開けておく」  おそらくβなのだろう医師が僕の腕を取った。途端に嫌悪と共に熱が冷めていく。慎也を求めていた熱が一気にさめる。 「え?」

ともだちにシェアしよう!