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それからそうなるように4
慎也の言う甘い匂いは、発情に関する事だろう。
「なっ何もしてないよ」
否定すると慎也は「色気がないなぁ」と呟いた。
「色気って……。発情期でも無いのに色気なんてないよ。それに、甘い匂いだって出てない」
発情しているわけでもないのに。
「お前はいつでも甘い匂いをさせている」
慎也は意地悪く笑う。
「僕には分からないよ。自分ではかぐことができないんだから」
αはΩのフェロモンに敏感だけど、Ω同士では匂いをかぐこともできない。自分の匂いも分からない。
「発情期でも無いΩが匂いを出している原因なんて分からないんですか?」
「本気で聞いてるのか?」
苦笑いの慎也にむっとする。
「分かりきった事だ。近くに欲しい相手がいるからだ。お前からのアプローチだと思っていたが、自覚ないのか?」
「そ、そっんなこと、無い。それに、慎也さんが近くにいなくても、痴漢に甘い匂いをさせてるって言われた。匂いが出てる原因なんて分からないよ」
「だが、俺が近づくとお前の匂いは強くなる」
ビーフシチューを口に運んで行儀悪くそのスプーンで僕を指した。
「それは、慎也さんが上等のαで、僕がΩだからだよ」
それだけじゃない。運命だから。
そう言って欲しい。今はそれだけでいいから。
好きな相手と結婚して普通の家庭を持ちたいと僕は言った。そして、慎也に委ねた。発情期前の気持ちに、慎也が欲しいと委ねた。
それを、慎也に理解して欲しい。発情期が来るのを僕も待って、番になることを望んで、ここに戻ったことを。そして留まっていることを。
「Ωの性ってことか」
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