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そういうこと、だから1
風呂に入って慎也の帰りをまった。いつもよりも念入りに身体を洗って、慎也が帰って来るのを待っていたが、慎也が帰って来たのはいつもより遅かった。
今日は穂高は一緒じゃなくて、マンション前で送迎の車から降りたようだ。
お帰りとソファーに座ったまま出迎えたけど、意識し過ぎて緊張感が漂っている。
慎也は気がついているはずだ。Ωのフェロモンにαは敏感だから。
昨日と同じように、慎也は何か聞きたそうに僕を見つめている。
「あの、昨日のΩが匂いを出している原因って……。僕が、発している原因って……」
聞かれるより先にしゃべり出す。リビングの入り口に入って来たばかりの慎也は手に持っていたカバンをダイニングテーブルに置くと僕の側へ近付いた。それだけで緊張は高まる。
「昨日はΩの性って言ったけど、そうじゃなくて……。ああ、それも一因だけど……」
慎也は静かに聞いている。もう目の前に立っていて、ソファーに座った僕は見上げている。
「僕が、慎也さんに発情するのは……。あなたに恋をしているからだ」
小さくなった声は震えた。
互いに見つめ会っているだけで、欲情を感じた。
そして、慎也の微笑みに全身が震えた。
「そうか」
慎也が頷いて指先が僕の頬を撫でた。
「お前にしては答えが早かったな」
認めてしまえば後は転がり落ちるだけだ。
「慎也さんは?」
僕の恋に応えてくれるだろうか?
「最初から言っているだろう。お前は俺の嫁で、運命だ」
指先が顎を撫でて、かがみ込んだ慎也の唇がゆっくりと唇に押し当てられて離れる。
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