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するようになっていた
ゆっくりと目を開けると身体に感じる倦怠感。腰の痛みにうなり声を上げると、「大丈夫か?」と声をかけられた。
「……駄目です」
頭の下の腕に引き寄せられて横を向かされて、抱き締められる。その甘い空気に照れくささを感じて胸へと顔を向ける。
慎也の手がいくつも歯形が残り、赤くなった項を撫でる。
「暴走した。すまない。後で手当てをしよう」
朦朧とした意識のまま風呂へと連れて行かれて、そこでも熱く穿たれてこのベッドでも……。無理だと訴えて抑止剤を飲まされて、慎也も同じ錠剤を飲んだ。薬が効くより先に意識を失ってしまった。
熱い身体の熱は収まって、汗や精などでべたついた身体は綺麗にさっぱりしていた。
「ようやく……俺のものだ」
慎也が僕の頭に顔を埋めて唇を押し当てた。
ギュッと強く抱き締めてからその腕を弛める。
「あの……」
慎也は本気で僕を手に入れたいと思っていたのだろうか?
最上級のαならば相手はいくらでもいるだろう。『俺の運命はおまえだ』と何度も言われたけど、それを軽く信じられるほどの子どもじゃない。
それに、慎也には奥さんはいなくても子どもはいるのだ。
僕は、恋していることを自覚したけど、慎也は?
運命の相手ってことしか、惹かれあう運命ってことしか慎也は言ってくれていない。
慎也自信がどう思っているのかを聞きたい。
もそもそと動いて顔を上げた。すぐ側にある慎也の顔。唇がすぐにでも触れあいそうな距離に胸が高鳴る。
「慎也さんは、僕を……どう思っているの?」
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