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第2話

「アヤの手、気持ちいい……」  うたた寝をしていたと言っていたのに、アヤに会えた安心感からか、またリョウの目はとろんとしてきた。 「気持ちいいんだ」  少しだけ嬉しそうにアヤは言うと、背中を撫で続ける。 「うん……」  アヤの掌の上で横向きに寝転び、足をくの字に曲げ、完全に寝入る体勢だ。 「寝ちゃうの?」  今度は髪を梳きながら、声をかける。リョウはまたうっとりとした面持ちになる。 「ん……気持ちよくて……」  すっかり目を閉じ口をむにゃむにゃさせている。  このまま寝かすはずがない。 「そんなに気持ちいいなら他のところも触ってあげる」 「え……?」  アヤの大きな手、の長い指の先が、リョウの体をくまなく撫で回す。髪、頬、唇、首筋、次第に降下していく。リョウは次第に子犬が鳴くように鼻から抜けるような声を漏らし始めた。 「ふぁ……あかん……て」 「ダメなの?」 「だって……んぐ」  答えるより先に、アヤの指がリョウの口に突っ込まれた。わざと少し乱暴に中を掻き回してやると、大きな指を咥えている唇が部分的にめくれあがり、指が動く方向へ顔も振り回され、なんとも扇情的である。だんだんと、もう随分昔にしまい込んだ加虐心が呼び起こされる。僅かに指を奥へ押し入れてみたら、案の定リョウが嘔吐いて咳き込んだ。  アヤに話せて安心したのもつかの間、リョウの心をゆっくりと不安や恐怖が支配し始めていた。いつもながら何を考えているのか分からない表情で、口の中をめちゃくちゃに掻き回されたかと思えば、喉の奥まで指を突っ込まれたり。次は何をされるのだろう。こんな体では抵抗もできない。  この時リョウは初めてアヤに恐怖した。

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