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第3話

 少年はお堂に屋根裏から忍び込みました。  また神に会うために、前前から天井に仕掛けを作っていたのです。  板をずらし、ロープをたらし、白い布団に座るベールだけを纏った青年の隣り降り立ちます。  そして青年の隣で服を脱ぎ捨てて、青年からベールを奪い、それを纏います。  ベールは全身の醜い痣をかくしてくれます。  青年は言われた通りに少年が着ていた服を身につけます。  そして、何度も何度も振り返りながら、ロープを使って天井へと消えていきました。  外に出さえすれば、男が待っています。  二人は逃げられるでしょう。  少年が引き裂かれる声を聞けば村人達は逃げたことに気づかないから。  少年は神が自分を抱くことはないと思っていました。  醜いからです。  でも、怒りで自分を殺し、もしかしたら喰ってくれるのではないか、そう思っていました。  喰われたかったのです、せめて。  それさえムリだとしても、怒りのために殺してはくれるでしょう。  抱いてはくれなくても。  それを待ちました。  初めての夜、花婿を待つ花嫁のように。    どきゅん  乾いた音が響き、あの日のように神が現れました。  黄金の肌。  燃える髪。  三つの瞳に、6本の長い長い腕。  長い脚。    やはり少年の目には神は美しくみえました。  神の鋭い眼差しはベールの下を見透かすようでした。  少年が震えたのは恐怖ではなく、その眼差しのうつくしさからでした。  ああ、なんて美しい。  刃物のように残酷で、水のように透明な。  音もなく近づき、神はその6本ある腕の一本で、少年が纏うベールを取りました。  花嫁のベールを捲る花婿のように。  その瞬間だけ、少年は悲しみました。  美しい花嫁の代わりにいるのは醜い自分であることに落胆するその一瞬だけを。  少年はずっと神に会うことを待っていたのですから。  ベールをめくりあげ、そこにいた少年を見て、確かに神は表情を変えました。  それは嫌悪ではありませんでした。  でも、神もこのような人間を見たことがなかったからです。  半身にのみ、炎のような痣が鮮やかに浮かび上がっていました。  赤と黒の炎が、のた打つように身体を焼くように。     それは露わになった性器にまで刻まれていました。  もう半身が痩せてはいても、美しいだけに、その容姿の異様さは目立ちました。  神は戸惑い、少年の目をみつめました。  そしてさらに驚きました。  その目に畏れがなかったからです。  恐怖もない。  ただの恋する少年の眼差しでした。  そして、少年の身体のその震えが、自分に殺されることや、犯されることの恐怖感のためではないことを神は気付きます。  「僕は醜いから・・・」   小さな声は神にとどきました。  少年は神に嫌われることを恐れていたのです。  神は微笑みました。    何百年振りでしょう人間に微笑んだのは。  人間達が神に花嫁を捧げだした頃にはもう笑わなくなっていました。  昔昔。  人間達がまだ愚かではなく、神が人と暮らせた遠い遠い昔の。  「お前が花嫁なのか?」  神は優しく少年の髪を撫でながら尋ねます。    「花嫁は僕が逃がした。恋人のところへ。僕はあなたに会いたくて身代わりになった」  震えていても、しっかりと話す口調も、声も神は気に入りました。  「私の花嫁になりたいのか?」  神が笑いました。  そんな者はいませんでした。  始まれば皆夢中になり、死ぬまで欲しがりはしても、望んで来たものなといませんでした。  神が人と交われば殺すだけだから。  「なりたい」  少年の目は真っ直ぐでした。  神は少年が気に入りました。  その痣さえ気に入りました。  だから、少年を愛することにしたのでした。  少年は神に唇を塞がれました。  濡れたそれが口の中に入っていきます。  人間のモノよりも長く、しかも2つに割れたそれは、上顎を舐めながら舌をからめ取り、歯列をなめながら、喉の奥さえ犯します。  少年はキスなどではない、口を犯される行為に、ただただ身体を震わせます  そそり立ったそこが濡れそぼり、自分で毎夜弄ってい  た胸の乳首が立ち上がります。  「可愛いな」  神は唇をはなして囁きました。  少年は懸命に神を見つめます。  その身体は今まで抱いた人間達とは違い、全てを受け入れようとしていました。  欲望に思考をまだうばわれていないのに。  手足を逃げないように押さえつける必要すらありませんでした。  少年の腕は神を求めました。  神は少年の髪を撫でて、優しく唇に触れるだけのキスをしました。  6本の腕全てで抱きしめても、足りない気持ちになりました。  「神」と呼んだのは人でした。  寂しさに人と暮らした過去も。  人に絶望した過去も。  人から離れた過去も。  それでも、一時でも人間を求めてしまって、捧げられた花嫁を愛してしまう今も。  切なさが今神にはありました。  自分が愛したなら殺してしまうのに。  愛を求める少年がいるのです。  「お前は可愛いな」  でも、神は少年を愛しいと思いました。  その痣の一つ一つを丹念に舐めました。  その痣は性器にまで達していたので、少年は神の口の中に放つことになりましたが、神はよろこんで飲んでやりました。  6本の腕も八本の指のある手も、逃がさないためではなく、愛するために使います。  乳首に複雑に動く指をからませ、性器をしごき、性器の下の2つの袋をもみしだき、穴をかきまぜ、わきばらなどの薄い皮膚をなでてやり、口の中の弱いところを指で愛撫しました。  うそっ  ああっ  だめぇ  許して許してぇ  少年は泣き叫びますが、その声には甘さがあります。  お堂の外で終わるのを待つ人間達には違いがわからないでしょうが。    長い指は奥まで触れれます。  奥までいれて出し入れすると、少年の中が甘えるように指に絡みつくのを神は気に入ります。  何よりも。   少年は腕をのばして神を求めるのです。  花嫁達は、快楽を求めても、神を求めたわけではありませんでした。  だから神も快楽を求めて、花嫁達を引き裂いたのです。  舌で少年の穴の中を犯します。  2つに割れた舌が中でうねり、少年は絶叫します。    自分を求めて蠢く中。  「欲しい欲しい!!」  そう叫ぶ少年が何を欲しがっているのかを知ってきるからこそ愛しくて。  神は散々少年をいかせて、泣かせて叫ばしましたが・・・貫き殺すことが出来ませんでした。  人間より巨大なそれを少年の太ももに挟みこみ、そこでこすります。  少年の性器も穴の中も同時に指でこすってやりながら。    ああっ  いいっ  いいっ  スゴいぃ  少年は泣きながら、気を失いました。  神は朝に血塗られたベールの代わりに気絶した少年を抱いてお堂を去ったのでした。  雨は降らせてやりませんでした。  もう、人間達に対する感情はどこか途切れてしまったから。  人間達は神以外の手段を見つけるべきです。  

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