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「望んだものはただ、ひとつ」1-4
「いつもの違うお衣装ですから、きっと陛下もビックリなさいますね」
今日は近場の視察に出ているため、アルフレッドがシェリダンの元へ戻ってくるのは夜だ。今の姿を見たアルフレッドがどういう反応をするのか楽しみだとシェリダン以上にワクワクしている女官たちに笑みを浮かべながら、じゃれついてくるレイルと遊ぶ為にシェリダンは中庭へと向かった。
夕食を終え私室でくつろいでいた時、カチャっと小さく扉が開く音がした。視線を向ければ金の髪の王が立っていて、シェリダンは立ち上がって近づく。
「アル、お帰りなさい」
いつもであればまっさきにシェリダンを抱きしめて「ただいま」と言ってくれるアルフレッドであるのに、今日はシェリダンを見つめたまま動かない。どうしたのだろうかと首を傾げて、シェリダンは己がいつもとは違う衣装を身に着けていることを思い出した。
やはり赤など似合わないだろうか……、とシェリダンが俯きかけた時、アルフレッドは側にいたエレーヌたちに下がるよう言って、室内に二人だけとなる。そしてその逞しい腕でふわりとシェリダンを包み込むように抱きしめた。
「ただいま。朝見た衣装とは違うようだが、これは?」
「いただいた貢物からエレーヌたちが選んでくれたのです。少し暖かくなってきましたので、着やすいと思ったのですが……。申し訳ございません。似合わぬ恰好でご不快な思いを――」
疲れて帰ってきたであろうアルフレッドを不愉快にさせてしまったと俯くシェリダンの耳に深々とため息が聞こえて、ビクンとその肩が跳ねる。そんなシェリダンを宥めるようにアルフレッドは震える肩を撫でた。
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