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「望んだものはただ、ひとつ」2-3

「確かに古いものですが、今の潤の治水や農作の基盤になっているものが書かれています。オルシアの治水も農作も十分整っていますが、知識は得て損はありませんし、オルシアにはないものもありますから、存外面白いですよ」  これでスラスラ読むことができればさらに集中することができるが、言語というものはそうすぐに会得できるものでもない。今回はあらゆる辞書や論文を見ながら少しずつ読み解くしかないだろう。  タルトタタンの甘さにふわりと頬を緩め、グイッと紅茶を飲みほしたシェリダンは伸びをするように立ち上がった。 「お茶とお菓子、ありがとうございました。私はまた書物を読んでいますから、エレーヌたちも休憩してくださいね。用事があれば呼びますから」  シェリダンが読書しているときはレイルも与えられたボールでゴロゴロと楽しそうに遊んでおり、エレーヌたちも邪魔をしないように下がるのが常だ。  また暫くしたら休憩を促しに来ようと、エレーヌとミーシャは恭しく礼をしながら下がっていく。シェリダンは再びソファーを離れ書物と格闘し始めた。

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