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「望んだものはただ、ひとつ」2-4

 空も黒く染まり星月が輝くころ、アルフレッドは王妃の私室に向かっていた。扉の前で、ちょうどシェリダンの部屋に入ろうとしていたエレーヌたちを見かける。彼女たちもアルフレッドに気付き、慌てて礼をした。 「シェリダンは今独りなのか?」 「はい。書物を読んでおられましたので」  シェリダンが読書中は女官が下がっていることを知っているアルフレッドはそうか、とだけ言って扉を開いた。シンと静まり返った室内の端にあるテーブルに近づく。 「シェリダン?」  何も言わず身じろぎ一つしないシェリダンの顔をアルフレッドはのぞき込む。そこには瞼を閉ざし眠っているシェリダンがいた。どうやら解読に疲れてそのまま眠ってしまったらしい。椅子に座ったまま壁にもたれるようにして眠っているシェリダンは頭がガクリと下がっていて、これでは首や肩を痛めるだろうとアルフレッドは眉根を寄せる。 「シェリダン、シェリダン……」  声をかけながら、その華奢な身体を抱き上げる。身体を横たわらせた方がいいのだろうが、生憎そうできるものは寝室の寝台しかない。  アルフレッドはシェリダンを横抱きにしたままソファーに座ったアルフレッドは、それでも眠っているシェリダンの首や肩を掴んでみた。 「……エレーヌ。シェリダンは何時間読書していた?」 「ここしばらくはレイルの散歩と謁見以外はずっとでございます。一応何度かご休憩を促し、お休みいただいておりましたが……」

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