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いつもの朝 ③

 そうして惚れた初恋の相手が男だったなんて。しかも、それ以降もなんやかんやで亜貴のことをそういう対象で見ているなんて。  口が裂けても言われへん。  そんな感情に苦しんだ俺は、亜貴への邪心を取り除くため、なるべく亜貴との距離を取ろうと努力したことはあった。  しかし、俺たちは幸か不幸か、隣に住む幼馴染みだった。毎日のように顔を合わせた。成長の過程で男らしくなってくれたらいいものの、亜貴はそのまま女のような可愛らしさ全開で、相変わらず俺の隣でニコニコしていた。  というわけで。俺の試みはあっさりと失敗した。半分諦めモードで一緒に過ごす内に、いつの間にか周りにセット扱いされるようになった。しかも、そのセット扱いの例えが、俺にとってはかなり抵抗があるものだった。 『カップルみたい』  この、20センチほどある身長差のせいで。亜貴の女顔負けの可愛らしさのせいで。俺が爽やか好青年でまあまあモテるせいで。ほんでもって、文武両道な俺の類い希なる優秀さのせいで(後半はほぼ自画自賛)。  お似合いのカップル、と中学ぐらいからずっと言われ続けてきたのだ。周りは面白半分だったり、深く考えずに言うたりしてたんやろうけど。  俺はこの言葉にずっと縛られ続けてきた。

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